その他

□汚れなき愛
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(最後のパズルでカイトとの戦いが終わった後のクロスフィールド学院での話という設定)


学校には来ているはずなのに授業に姿を見せなかったフリーセル。でも授業に出ないときは大抵どこにいるなんて僕は知っている。その場に向かおうと階段をかけていくスピードが上がっているのが自分でも分かった。フリーセルに会えるから。フリーセルと話ができるから。こんな気持ちでいっぱいだ。でも今日の僕の片手には大切な贈り物がある。

ガチャリと屋上への扉を開くと太陽の眩しさに目を開くのに躊躇したがそれも自然と視界がクリアになってきた。屋上の全体に目をやるとポカポカな陽気を浴び寝ころでいる彼を見つけた瞬間自然と頬が綻んだ。恐らく僕が来ていることに気付いていないであろうフリーセルの傍に一目散に駆け寄る。

「フリーセル!」
「あ、ピノクル。どうしたの?」
「どうしたの?じゃないよ。…授業は?」
「…お説教、しにきたのかい…?」

本人も授業を休んだ(いや元気そうな姿から見てサボりって言ったほうがいいかな)ことに対して申し訳ないとは思ってるみたいだ。

でも僕はその事に関しては全く怒ってもいなければなにも思ってはいない。だってフリーセルが授業に出ないのは今に始まったことでもないからだ。

「ううん。お説教じゃないよ。ちょっとね」
「なぁに?僕眠たいんだけど…」

今にも寝そうな目を擦り欠伸を一噛み。そしていつもよりふにゃりとした声で話すフリーセルについ苦笑い。でもこんないい天気だと僕も船を漕ぎたくなるんだろうな、と思いながらフリーセルへの贈り物を背にし手で弄る。

「ん、なにそれ…」

今にも閉じそうな目をうっすらと開けこちらを指差し見つめるフリーセル。バレないようにしていたのにフリーセルには見破られてしまったようだ。こうだから昔からフリーセルには隠し事は出来ない。

「これはね、フリーセルへのプレゼントだよ」
「僕への…?」
「タマスダレって言うんだよ。可愛いでしょ?」
「ふーん。…綺麗だね」

背に隠していた白・ピンク・黄色に彩られたタマスダレの花束を差し出した。その時さっきまでうつらうつらとしていたのにフリーセルは急に起き上がって花束を受け取る。

「ふふっ、いい香りだね。ピノクル、ありがと」
「よかった。フリーセルに喜んでもらって」

僕が笑うとフリーセルも優しく笑ってくれる。そして大事そうに花束を見つめるフリーセルの横顔はとても美しかった。僕はついそれに見惚れてしまい自然とフリーセルを見つめる形となってしまった。

「なに、そんなに見つめて」
「ううんっ!なんでもないよ!」
「あぁ、そう…」

“でもなんだか怪しい“
という目で見つめるフリーセルに僕は少々たじろいた。いつもこうやってフリーセルは僕の気持ちを知ろうとする。別に嫌な訳じゃないんだけどちょっと恥ずかしい。でも想いを中々口にできないからこうやって伝えてるんだけどなぁ…。

そう自分の中で色々と葛藤していると唇に柔らかいものを感じた。そうフリーセルとの距離が0になったのだ。ちゅっと可愛らしいリップ音がしたかと思えばそれはすぐに離れた。

「なっ…!ちょ、フ、フリーセ、ルッ?!」
「じゃあ僕は帰ろうかな。ピノクルばいば〜い」
「あっ、え!?フリーセル!ちょっと、待ってっ!」

フリーセルは悪戯が成功した子のように笑うと花束を持ち軽い足取りで屋上の出入りへと向かう。何をされたかすぐ分かり頬が熱くなった僕は赤くなった頬を冷ます暇もなくそのままフリーセルへを追いかけた。

………でもフリーセルが花に込めた想いに答えてくれたのかな、と思ったら自然に口角があがった。
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ツイッターでいつもお世話になってる方へとてつもなく遅いお誕生日プレゼントなピノフリピノです!
お誕生日おめでとうございます(*´`*)

因みにタマスダレとは9月8日の誕生花なのです。
そして花言葉はタイトル通り「汚れなき愛」

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