恋の一部分
□ヘンゼルとグレーテル
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昔々、ある街の森のはずれに、街を治めている一人の男が住んでいました。
何故そんな所に住んでいるかというと、実はその男は少し変わった人間で、他者と群がることを嫌っていました。
街の群れている国民を見つけると、つい咬み殺してしまうのです。
彼の性格を知っていた国王は、国民を少しでも助けようと思い、街外れの森に屋敷を建てさせ、そこに住むように必死で頼み込んだのです。
男には、国王の右腕であり、男が市民を咬み殺さないように見張るために共に街に派遣された妻と、二人の子供がいました。
子どもは、姉をヘンゼルといい、妹はグレーテルといいます。
「ねぇ、遊李。」
「早速名前総無視かよ、お父さん。」
「グレーテルなんて子供は僕は知らないよ…それより、この書類を片付けるの手伝いなよ。」
男には、この街を治めて居るだけあって、仕事が沢山ありました。
「俺子供って設定だろ?」
「そんな設定今すぐ咬み殺してあげるよ。「Σ設定を?!」…良いから、早く手伝って。」
「えー…」
コンコン ガチャ
「ひb…お父様、3時のおやつを作ったから、休憩も兼ねてお茶にしましょう?」
「…そのお父様ってのやめてくれない?気味が悪いんだけど…。」
「煩いわね…私だって好きで言ってるわけじゃないのよ、糞ジジイ。」
「…反抗期かい?」
三人で寛ぎ始めて暫くしすると、妻が部屋に入ってきました。
「あ、やはりこちらでしたか!遊衣さん遊李さん!今晩の夕食は何が宜しいッスか?」
「ハンバーグ。」
「煩ぇ!テメェには聞いてねぇんだよ!」
「…君、僕の妻って設定でしょ?なら、主人のいうことぐらい聞きなよ。」
「誰が妻だ!「Σ設定から否定?!」だいたい、俺がお仕えしてんのは、十代目と遊李さんと遊衣さんだけだ!」
「隼t…お母様。子供にさん付けするのは可笑しいと思うわ…。」
「まぁ、いんじゃね?」
ヘンゼルもとい遊衣は、疑問に思ったことを、口にしましたが、父と口喧嘩を始めた母の耳には届くことはありませんでした。
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