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「大事なことを言うから よく 聴いて」
「私たちは殺してはいけないし
殺されても いけない」
「生かし合わなければ」
「人間なのだから」
「その痛み(悼み)が分かるのだから」



苦しみを故ないものと思うな、
故を受け入れ
故を正して
そうして人は大人(たいじん)なり得るのだ、人の子よ

道はまだ遠いが、進み続ければいつかどこかに辿り着くはず
今ここに辿り着いたように






空が白み、曙がその薔薇色の指を伸ばし星を隠す
その星と同じように隠されてしまうのではないか
不意に不安になり、その翼ある体を引き寄せた





ずっと逃げている
仮想の世界に
ずっと逃げている
夢の世界に

立ち向かっていくことも大切だけれど
この弱った心は今はまだ
力をためこむことを求めている

光の姫は薄く開けた瞳を再び閉じた



「そなたが伝説と謳われる魔術師の娘…」「伝説?」「その存在が永く記録され、稀に見(まみ)えた者の言(げん)では、時を隔てていても、少女であったと。…『常葉の非人』との記述もされるほどに…いいや、実際に人ではなくなっていたのかもしれない。
その存在と力は歴代の三紋を凌駕したのだ…」



「なんか、誰かを思い出す…」
「そ?
じゃあどこかで会ったのかもしれないね。あるいは血筋の記憶とか。
あたしは先祖返りかってくらい親兄弟に似てなくてね。
肖像画の残ってる中では、双子の姉妹に似てる気がする。紫の瞳の可愛い子達でね。
二人とも娘か息子がいたはずなんだけど、そっちの絵は残ってないんだよね。でも、あの双子の子供なら、よっぽどのことがない限り美人だと思うんだ∨
ん?あたしも美人だって言ってる?
あはは、似てるとどちらか一方が不美人は、パーツのバランスの関係もあるから、矛盾なく成立するのだ―!」



「かっわいいなあ、あんた!」
そう言って笑った、目の前に立つ娘の方が、何倍も可愛い。
男はそう思った。



『願い事』は一つだけ。
戯心によるもの
後の極端な変更
願う時点で不可能が明らかなものは
認めない。
けれど
それが真の『望み』なら私はそれに応えよう。あらん限りの力もて。




扉のない高い部屋
開かれた窓

翼があれば 空を飛ぶ
せめて宙に浮く魔法があれば

この高さから墜ちる勇気もわくことだろう


けれど
この背に翼はなく
その内に異能もない


いつかはどうにかしなければ

思いはするが
今はただ疲れて


気力が無尽蔵に意思のもとに湧くなど幻想は抱かず

今は全てを休めよう

端から 動かぬ人形に見えようと。



「俺の愛人(まなびと)がごめんね」
愛人を庇うように、怒った父親との間に割って入る。
「でも呪いじゃない、予言だ。
よく当たるよ、俺の愛人の先視(さきみ)は。知ってるよね?」
母親に目を向けると、その瞳が揺らいだ。
「でも絶対じゃない。彼女はいくつもの世界を、分岐を、渡る。
だから、注意して育ててあげればいい」




「幸せになろうね
一つから生まれた君と僕が同一じゃないことが、こんなにも嬉しい。
一つから生まれた君と、求めることが違って、奪い合わずに済むけとが、こんなにも嬉しい。
一つから生まれてきた君が僕と同じものを求めないけとが
ひどく悲しい、そして、寂しい」

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いつになったら纏まるのか気が遠くなった構想たち
ウェズンは軽いけど実は佳い男だと思う

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