企画用
□月の一日
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朝日が昇り、しばらくして沖田家の一日が始まる。
「・・眠いお。」
瞼を重たしげに動かし、沖田 花音は言った。
「言うな。俺は、あの後、爺ちゃんから電話を受けて、お前より眠いんだ。」
花音の兄、沖田 誠は、目は起きているが、目の下に真っ黒なクマを作り、げっそりとした表情をしていた。
「ごめんなさい。」
二人の目線が月・・・彼らが夜、睡眠を取れなかった原因とも言える人物がそう、申し訳なさそうに言った。
「とんでもねえよ。」
誠がそう言った。
「悪いのはお前じゃない・・痛!舌カンダ・・。」
誠は、口元を押さえた。
花音は、兄とは別の感想を月に対して言った。
「月ちゃんが表情を変えるの初めてみたよ〜。」
「・・え。」
寝ぼけ顔の花音にそう言われて、月は虚をつかれたように口を小さく開けた。
「そういぁ、そうだなぁ。」
舌にティッシュを当てながら、誠も頷いた。
「・・私は。」
月は何か言いかけたが、結局何も言わずに黙った。