企画用
□2000ひっと企画 続々・エミリオ対岩田 戦うわけ
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エミリオの心器が煌き、頭上へと振り下ろされる。岩田はそれを双子の剣をクロスさせて、受け止めた。エミリオは力に任せて押すような事はせずに、剣を引く。一瞬、岩田の気が抜け、双剣の構えが解かれる。
その瞬間を逃さず、エミリオはもう一度、心器を振り下ろす。
「のわ!!」
岩田は、間一髪、後ろに下がってその攻撃を避けた。
「相手の攻撃を受けたと思っても気を抜くなよ。追撃が来ることもあるからな。ま、これは剣術だけに限った事ではないけど。」
「あぁ、全くだ。」
今度は、岩田から仕掛けた。右に持った剣を扇を広げるように振り、エミリオの首を狙う。エミリオはそれを易々と受け流す。
岩田は続けて、左からも剣を振るい、エミリオの防御の隙を突こうとするが、エミリオは素早く、剣を振るって防いだ。
(やるな。)
続けざまに剣を振って、エミリオに攻撃を加えながら岩田は思った。エミリオの一つ一つの動きは、特別何か仕掛けがあるわけでもないし、派手派手しい動きがあるわけでもない。
エミリオの動きはシンプルだった。攻撃、防御、回避。恐らくエミリオが使う剣術の形はそういった基礎が凝縮されているのだろう。
ただし、その一つ一つの判断、動きが速いのだ。
大技ならば、回避してその隙を狙えばいい。技量を重視しているのならば、その技量は通じない程の大技でかかればいい。機動力が高いのならば、隙のない構えで防げばいい。
しかし、彼の場合はどうすればいい?
「複雑で、習得の難しい技を覚えるよりも、簡単な基礎を積み重ねた方が隙のない形となる。」
「確かに。シンプルな形だ。そして、強いな。・・・なら、こっちももっとマシな戦い方をするしかねえな!!」
その言葉をエミリオが理解するよりも早く、岩田は跳躍した。その動きがあまりにも早く、エミリオの目には、消えたかのように見えた。
背後に気配を感じて、エミリオは振り向きもせずに、刀を振り上げ、頭の位置で後ろに手首を曲げる。
岩田の二本の双剣が火花を散らして、エミリオの刀と激突する。
エミリオはくるっと振り向いて、その剣を押し返す。
今のは危なかった。と思い、距離を取るエミリオだが、後ろに一歩下がると、岩田は一気に迫ってその距離を埋めた。