企画用
□2000ひっと企画 続々・エミリオ対岩田 戦うわけ
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エミリオの目の前で火花が散った。
「確か・・・目に見えている太刀筋と実際に来る太刀筋が違うって話だよな。」
そこに。目の前に岩田の不敵な笑みが浮かんでいる。
「なら、話は簡単だ。生じている誤差も頭に入れて、防御すればいい。」
エミリオの刀は岩田の剣に受け止められていた。エミリオはその機転の良さに舌を巻いていた。この短時間で、月影一閃の特性を全て理解するだけでなく、実際に受け止めて見せたのだ。
そう、月影一閃は刀その物を空気化させて、相手の防御をすり抜けているわけではない。単に相手の視線をーエミリオの持つ心玉の場合、光の屈折でー狂わせ、防御の角度を見誤らせその隙をついているだけに過ぎない。
だが。とエミリオは思う。実際にそれを理解した所で反撃にまで結び付けられるような人間はそうそういないだろう。
少なくとも、エミリオは方術士以外に月影一閃を破られた事はない。
「やるな。でも詰めが甘い。」
「へ?」
エミリオは相手の剣を自身の刀につけたまま。手首を曲げて一気に捻った。
途端、岩田の剣が空中を舞って地面に突き刺さった。
「あ・・・。」
「今のは“巻き返し”。月影一閃なんかに比べたらもっと単純な原理なんだけどな。」
エミリオは言いながら、刀を振り上げた。
「ぬおおおおお!!?」
岩田は絶叫しながら、残った剣を振るう。
互いの武器が交差し・・・・勝負は決する。