企画用

□dream 鬼と人と
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「あー、それは」と來吏は言いよどんだ。一瞬で見破ったこいつは何者なのか。


 赤髪の少女はふふん、とからかうように笑って來吏の唖然とした顔を覗いた。もしかしたら、こいつも人じゃないのではと今更ながら思った。が、少女は何も言わずに答えた。


「月が待っているんで、ごめんねー。鬼さん」


「お前は違うのかよ?」來吏が尋ねると少女は子供っぽい笑みを深めて妖艶な声で答えた。


「似たようなもの、だね」



 その日の夕方、來吏は交番へと駆け込んでいた。暇そうな警官谷崎梗が一人、新聞を読んでいた。テーブルの上には、誰か迷子でもいたのか地図やら電話番号が書かれた手帳、せんべいの袋等が転がっており、放っておいたらそのうちゴキブリでも出てきそうな感じだ。

「なーなー!!」


「なんだ、また犯罪者でも出たのかい」谷崎は言いながらせんべいを噛んだ。それをひったくり自分の口の中に入れながら谷崎は言う。


「違えよ、狩衣姿の女の子見なかった? 双子でさ」

「人探しなら、警察じゃなくて探偵をやとえ、馬鹿」と言う谷崎の言葉は聞かずに、テーブルに転がっていたメモ帳の上からボールペンで絵を書いていく。


「一人はこんな感じでさぁ」


「おま……ふざけんな!! その上に書くんじゃない!!」


 愉快な音を立ててひっくり返る机とその他諸々。鬼と人は今日も共に暮らす。
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