企画用
□その少年嘘通じず
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「じゃあ、彼が1日の時間帯のいつからいなくなっていつに帰ってくるかとかはわかる?」
「昼間、丁度今時にいなくなって夕方頃帰ってくるかな。ここ一週間くらい」
つまり、数時間。と錬磨は考えた。何かしらのプレゼントを彼女に贈るつもりならば一週間もいなくなる必要はないだろう。贈り物を探すにしてもせいぜい数日。毎日探す必要はない。だとすると。
「あぁ、じゃあ何か彼が苦手な事ってない? 何かで失敗したとか」
錬磨が聞くと少女はうーんと考え、それから本当に何気なくふと思いついたようにあっと小さい声を漏らした。
「ひとつある」
その答えを聞いて錬磨はふうっと頷いた。
「それだ」
その日の「誠」の帰りは一段と遅かった。結局スーパーでは彼を見つける事も出来ず、その必要もなくなっていた。なんとも生ぬるい事件だったと錬磨は思う。ただ、人の為を思っての「隠し事」というのが現実の世界にあったという事が驚きだった。そんなのは小説、映画など空想の中の出来事であるとばかり思っていたから。