企画用
□月の一日
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窓から差し込む朝日・・もないうちに一人の寝巻き姿の少女が布団から起き上がりました。
「・・・日向。」
少女は枕の下に引いてあった札を取り出し呼びかけます。
「・・・日向。」
もう一度呼びかけます、しかし何も起きませんでした。
「早く、起きて。」
そう言い残すと、彼女は札を枕元に置き、部屋を出て行きました。
少女は、隣の部屋に行こうとして、躊躇いました。まだ、日が出るか出ないかという時間に他の人たちを起こすのは、気が引けます。
仕方なく、少女は台所に行きました。
「朝食は基本、トーストと目玉焼き」そう、教えられていた少女は、教えられた通りにトーストと目玉焼きを作りました。
この家にいる人数分作りました。
少女はパンを食べたことがありませんでした。
「おいしい・・のかな。」
食べてみました。
「・・ぱさついている。」
少し、ほんの少し、他人が見ただけでは絶対にわからない程度に顔をしかめて、少女はそう言いました。
その時、彼女の後ろでドアが開く音がしました。人間一人分の気配を感じ取り、少女は振り向きました。
「こんなに早く起きることもないだろ・・月。」
「習慣を変えるのはとても難しい。」
少女は・・月と言われたその少女は、無表情のまま、そう答えました。