自己中心的精神病多重人格少年
□最終試験
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今の状況をテキトーに説明すると、ハンゾーにやられて見てるだけでイラついてくるほどボロボロになったゴンがハンゾーに勝ったはずなんだけど殴られて気絶したところ。
テキトーすぎてわからないか。じゃ、ちょっと時間を戻して……。
数分前────。
「オレにはお前は殺せねェ。かといってお前に『まいった』と言わせる術も思い浮かばねェ。オレは負け上がりで次にかける」
つまりこの勝負ゴンの勝ち。ゴンの頑固さは世界一だもんね。
「そんなのダメだよずるい!!ちゃんと2人でどうやって勝負するか決めようよ!!」
「言うと思ったぜ。バカかこの!!てめーはどんな勝負しようがまいったなんて言わねーよ!!」
「だからってこんな風に勝っても全然うれしくないよ」
「じゃどーすんだよ」
「それをいっしょに考えよーよ!!」
「おいおい」
ゴンってここまでワガママだったけ。ここは素直に勝ったって喜んでおけばいいのに。(兄ちゃんはゴンの将来が不安です)
やっぱここは無理矢理終わらせた方がいいかな。だってゴンの傷早く手当てしたいし。
「要するにだ、オレはもう負ける気満々だがもう一度勝つつもりで真剣に勝負しろと。その上でお前が気持ち良く勝てるような勝負方法をいっしょに考えろと。
こーゆーことか!?」
「うん!!」
「アホかーーーー!!!」
「あはは、普通こうなるよね」
そう、それでゴンが殴られたんだ。今回のは俺もちょっとカバーできないというか、仕方ないというか。
でも勝手にゴンを殴ったのは怒ってるよ、俺。まずここまでゴンをボロボロにした時点でイラついてるから。
「おい審判オレの負けだ、2回戦にいくぜ。しかし委員会に言っておくがこれで決着したなんて思うなよ。
そいつが目覚めたらきっと合格は辞退するぜ。一度決めたら意志の強さは見ての通りだ。
不合格者はたった1人なんだろ?ゴンが不合格ならオレ達のこの後の戦いは全て無意味になるんじゃないか?」
「心配御無用。ゴンは合格じゃ本人がなんと言おうとそれは変わらんよ。仮にゴンがワシを殺したとしても合格した後で資格がとり消されることはない」
「なるほどな」
ずっとダダをこねてたら俺が無理矢理合格させるからその心配は絶対ないんだけどな。
さて、ゴンをどっかの部屋で寝かしてやるか。骨も固定しとかないともっと酷くなりそうだし。
俺よりも速く審査員がゴンを抱えて部屋を出て行ってしまった。(俺の立場は…?)
「なんでわざと負けたの?」
「……わざと?」
「殺さず『まいった』と言わせる方法くらい心得ているはずだろ、あんたならさ」
ちょっと面白そうな話してるからここ離れられないじゃん。
ゴン、自分の趣味に走る兄ちゃんを許してくれ。この話が終わったらダッシュでお前の所に向かいます。
「オレは誰かを拷問する時は一生恨まれることを覚悟してやる。その方が確実だし気も楽だ」
「?」
「どんな奴でも痛めつけられた相手を見る目には負の光が宿るもんだ。目に映る憎しみや恨みの光ってのは訓練してもなかなかかくせるもんじゃねー。
しかしゴンの目にはそれがなかった。信じられるか?腕を折られた直後なのによ、あいつの目はもうそのこと忘れちまってるんだぜ。
気に入っちまったんだあいつが。あえて敗因をあげるならそんなとこだ。それと……」
「ん?」
「あのままやってたら確実にオレはお前に殺されてたからな。そうだろ?」
お前って…指差してる方向と視線の先を見れば俺ってことになる。あ、俺か。
周りの視線が痛いけどここはあえてニッコリ笑顔で爽やかに答えてやろう。(美形はどんな笑顔でもかっこいいからな)
「殺さないよ。だって、まだ試験の最中だもん。それに、ゴンの邪魔はあまりしたくないからねェ」
「……」
殺さないだけ感謝してほしいな。俺だってゴンの骨を綺麗に折ってくれたから殺すのをやめたんだからさ。(そんなに警戒しなくていいのに)
さて、話がズレちゃったな。次の試合は確かクラピカと…あ、ヒソカの試合だ。
俺の試合までゴンの所にいよう。だってヒソカの試合を見て興奮したら面倒だしあれ以上目立ちたくないしゴンが心配だし。
勿論一番の理由はゴンが心配だから。次の理由もゴン、その次もゴン。(俺の頭の中の8割はゴンで形成されてます)
「ゴン〜!って、まだ寝てるよなぁ!ホンット寝顔も可愛い!!ラブリーゴン!!」
変人だとか思わないでね。俺はただの世間的に言えばブラコンだ。(そっちの方が変人か?)
「今日はお疲れ様。もうこのまま休んでていいからな。…オヤスミ〜!」
(俺の試合を見せなくて正解)(ゴンの前では優しいお兄ちゃんでいたいんだ)
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