自己中心的精神病多重人格少年

□出発の日
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くじら島―――――




風が吹いていて気持ちいい。瞼がどんどん下がってくる。



「(起きてアイツ待ってなくちゃいけねえのに)」



磁石みたいにくっつこうとする瞼同士を無理やり放す。
自分では結構開いたつもりだったけど、視界が狭い。…引力って素晴らしい。



「あいつ遅ぇなぁ。まだやってんのかよ」



これ以上ここで寝転がってると本気で寝てしまう。渋々だが、体を起して伸びをした。まだ眠い。

空をぬぼーっと眺めていたら、無償にあいつに会いたくなった。つか、抱きしめたくなった。(変人じゃねぇ。変態でもねぇ。)



「あ〜ヤダねぇ。俺がこんなに思ってても、あいつはいつもあの事ばっかり考えてるし。

 いい加減、俺ぐれるぞ!」



ここで一人で叫んでる俺はきっと変な目で見られるんだろう。けど、全く気にしない。
昔から自分以外の事になると無関心の俺。母さんは、それは俺の悪い癖とか言ってたな。


そう言えば、まだ自己紹介してなかった。
俺はレイ。もうすぐ13になる…と思う。自分の年の数なんかいちいち数えてられるか。
さっき母さんとか言ったけど、俺には母親はいない。だから、叔母のミトさんが母親代わりをしてくれてる。



「「「おお〜〜〜!!!」」」
「やっと帰ってきたか」



いいタイミングであいつが帰ってきた。
木の上から飛び降りて家に向かう。

俺の目は、皆と同じ黒色だ。けど、何故か透き通って見えるんだ。そのせいでよく「全てを見透かされてるようだ」って言われる。
全然気にしないけどね。(何回も同じことを言われるから面倒なだけ)

それでも俺はこの目が気に入ってる。

あいつはこの目を「どんな宝石よりも透き通ってて綺麗」と言ってくれたから。
その時のあいつの笑顔をの方がどの宝石よりも価値があるしキラキラ輝いて綺麗だと俺は思う。



「さぁ約束通り主を釣り上げたよ!!今度はミトさんが約束を守る番だ!!」



ツンツン頭で俺より小さい俺の大切な子。
近くにこいつの何倍もあるでかい魚が転がってる。これが主か。食べたら美味いのか?



「へーちゃんと釣り上げたんだ。やるなぁ」
「レイ!!」



俺が声をかけるとそいつは笑顔でこっちに走ってきた。片方の手にはハンター試験応募カードが握られてる。



「お疲れ、ゴン!これでハンター試験受けられるな!!」
「うん!!」



ゴンが俺に飛びついてきた。それほど嬉しいんだろう。でも…。



「(可愛すぎだろォォオオ!!!ヤバッ!我慢の限界!!!)」



こんな可愛いことされちゃ簡単に我慢なんか限界を超える。だって可愛すぎなんだよ!!!



「ゴン〜〜〜〜!!!!何でお前はそんなに可愛いんだっっっっ!!!!」
「え?」
「あーーもう!そんな風に首を傾げる仕草なんかも可愛い!!!」



計画してやってる事じゃないんだろうけど、ゴンは俺のツボを全て突くんだよ。本っっっ当に可愛い。(自分、ゴン依存症ですから)

さて。そろそろ話を戻さないと。



「母さん。約束は守んねぇとな。

 はい、ハンター試験応募カード」



ポッケに仕舞っていた応募カードを母さんに渡した。
ん?俺も受けるのかって?

当たり前だろっっっ!!!!

俺が俺のゴンを一人であんな危険な場所に行かせると思うか?(思うって言った奴はタンスの角に小指ぶつけて死ね)
ちゃんと俺は母さんの了承を得てる。つか、ゴンが行くか行かないかで決まったんだけどな。


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