作文。
□サウスポー
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「沖、字うめーなぁ」
みんなで集まって勉強しているときに、オレのノートを覗き込んで水谷が言った。
「ほんとだ!」
「女の子の字のようだ」
水谷の声に反応した両脇の田島・泉も次々に顔を近づけてくる。
「そ、そうかな…」
注目されることに慣れていないオレは恐縮して、小さくか細い声で返事をした。
顔が赤くなっている気がする。
「でも左手って漢字とか書きづらくね?」
「う、うーんどうだろ…考えたことない」
「かっけーよな左利き!みてコレ左手で書いたオレの字ー!」
自慢気に水谷がルーズリーフを差しだしてくる。
「ぎゃはは!へったくそ!」
「読めねーし!」
ミミズがのたうち回った跡か、はたまたダイイングメッセージかというくらい崩れまくりの「水谷文貴」という文字を、田島と泉は笑いながら批判する。
オレもつられて笑ってしまった。
「んなのオレのがうまく書けっぞー!…見ろ!!」
「申了……なにコレ」
「『甲子園優勝』!!読めんだろー!見ろっ花井ー!!」
「お前らさっきからうるせっつの!!まじめにやれ!!」
いつものごとく花井の雷が落下した。
fin.
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