頂き物

□「つぎはぎLOVE」様より 相互記念文
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鉄壁で退路を塞がれるのと同時に、靴の納められたガラスケースが天井へと持ち去られた。
そして僕らの目の前に、4基もの機関砲が現れた。
映画などで、よく武装ヘリに積まれているアレだ。本物を見たのは初めてだった。
撃たれたら、蜂の巣程度では済まないだろう。

「おい。」

恐怖のあまり息をするのも忘れていた僕の耳に、キレネンコさんの呼ぶ声がかろうじて届く。

「俺の後ろに隠れてろ。」

彼はこちらを見ようともしないでそう言った。

隠れろって?
どうして?
思考はまともに働かない。
とにかく、キレネンコさんの言うとおりにしよう。
急ぐべきだとわかるのに、カラダはぎくしゃくとしか動かず、自分がひどくのろまになったように感じる。
そして、僕がキレネンコさんの後ろに辿りついたとき、轟音が全身を貫いた。
死んだ、と思った。




意識を取り戻して、自分が生きていることに気づいた僕は「キレネンコさん!?」と叫びながら飛び起きた。
キレネンコさんは無事だった。ちゃんと生きて、天井に開いている大穴を見上げていた。
4基の機関砲はボロボロに壊れている。
何かあったのは確かだけど、命拾いのいきさつは、いつものように僕の理解の範疇を超えているんだろう。

「キレネンコさん!良かった無事で・・・全然大丈夫ですか?怪我とかしてませんか?」

促されたとはいえ、キレネンコさんを盾にして、もし自分だけが生き残ってしまったら、一生後悔しても足りない。

「ありがとうございました!僕を庇ってくれるなんて・・・僕」

駆け寄る僕を、キレネンコさんが振り向く。
彼は、怒ったときのあの怖い顔をしていた。
思わずぎくりと息を呑んで、立ち竦む。

「とっとと次行くぞ!」
「は、はい・・・」

例の靴を目前にして、まんまと取り上げられてしまったから・・・
キレネンコさんの機嫌は、かなり悪そうだ。
そりゃそうだよね。
とりあえず怪我はなさそうで、良かった。

キレネンコさんは鉄壁を容赦なくひっぺがして、エレベーターに乗り込んだ。
遅れないように、僕らも後に続く。
例の靴を取り上げて、一斉射撃をしかけた相手が誰かは知らないけど・・・
これ以上の意地悪は、死亡フラグが立つかもね。




その前に僕らがキレネンコさんを怒らせないように、気をつけなきゃ・・・


素敵な文章ありがとうございました!

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