野良猫幻想夢(上)

□魔法の茸の力で
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数十分後そこには汗だくで力尽きる
魔法使いの姿があった。そんな彼女を
シカトしてトレインとフランは
石畳に立ち帰ろうとしていた。

「んじゃ俺らは帰るわ!明日師匠さんに来てもらうように言っといてくれ」

「何でも私に押し付けないでよ……」

「お賽銭」

「……分かったわよ」

金で釣るトレイン。それで同意してしまう
霊夢もまた霊夢であったが……

「んじゃ帰るぞフラン」

「うん!」

そして博麗神社を後にした2人は
真っ直ぐと紅魔館に戻っていった。






「あれ?美鈴またナイフ刺さってるよ!」

「どーせ寝てたんだろ?」

「寝てませんよ!全然これっぽっちも」

門の前に戻った2人は全身ナイフが
刺さった美鈴と会話していた。
本人は寝ていないと主張するが
答えはナイフが自然と語ってくれている。

とりあえず紅魔館に戻った2人は
紅い廊下で咲夜と出会った。

「どうしたんですか?今日はいきなり飛び出したりして」

「借りた物を返しに行ったんだよ」

「そうですか」

「借りたって言うか一方的に同じ事をし返してただけのような……」

「フラーン!」

「ごめんなさーい♪」

「!(可愛っ……)」

フランの動作に思わず鼻血が出る咲夜。
それも今更ではあるが……

「それで咲夜さん鼻血出てます」

「壁にぶつけたんです」

この言葉もよく聞く。ブームにでも
するつもりなのだろうか?

「……もうすぐ夕食か?」

「ハイ。そうですね」

「んじゃ移動するか」

「うん!」

行き先を自分の私室から夕食を食べる
部屋へと変更した2人は咲夜を抜き
紅い廊下を進んでいく。その後ろ姿を
メイド長は見ながら心の中で呟いた。

「(もしお嬢様があんな動作をしたら……私は死ねます!)」

そうですか………







夕食を済まし部屋に戻る2人。ベッドに
腰掛けたトレインは予め用意していた
お茶を寝っ転がっていたフランに差し出す

「ん」

「ありがと!」

体を起こし何の疑いもなくフランは
それをゆっくり口に運び一口含む……と

「……!?」

再びベッドに倒れるフラン。意思に
反するその行動に彼女は驚いていた。

「あれ?体が……」

「何も疑わないで飲んだな」

「ふぇ!?トレインまさか!」

「まだ持ってたんだよねこれが!」

「酷いよトレイン!」

意地悪な笑みを浮かべてそう言った
トレインにフランは涙目で返答した。

「んじゃ昨日の……」

「!」

「お返し……」

「い、嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

昨日とは逆の目にあうフランもまた……



Cat and fox

香霖堂
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