野良猫幻想夢(低)

□虚空邸
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一方咲夜と鬼星隊の戦闘はまだ継続中で
互いに一定の距離を取りつつ射撃攻撃で
牽制し合う攻防が続いていた。

「どうした女!?お前の武器はナイフしかないのか!?」

体中に仕込ませた機銃系機器を辺り一面に
撒き散らしながら咲夜を数で圧倒していく
鬼星隊に対し咲夜は無言でナイフを構えて
それを鬼星隊に放つ。だがナイフは装甲を
貫けず折れて地面に転がっていく。

「何度も言わせるな!お前の自慢なナイフも俺のこのボディには効果ねぇんだよ!」

自らのボディの強度を自慢するように弾き
鬼星隊は高笑うが咲夜は尚も無言だった。

「いい加減諦めろ!お前の武器と俺とじゃ相性が悪いんだよ!」

「相性?」

ここで初めて喋った咲夜は再びナイフを
構えながらニコッと微笑んで言う。

「アナタ程度に相性なんて関係ないわよ。それよりもそろそろ切り札になる武器とかを出したらどうなの?私はもう退屈です」

「テメェ!!」

咲夜の挑発に乗った鬼星隊はその切り札を
露わにする。胸部から腹部にかけて大きく
開いたその部分からは大きな大砲のような
黒い鉄の塊が姿を現し咲夜に向けられる。

「!」

「こいつでドカンッ!…だぜ!」

「掛かりましたね」

「何?…ぐおっ!?」

体の異変に気付いて開いた胸部に視界が
いった。鬼星隊が見たのは開いた胸部に
大量のナイフが刺さっていた光景だった。

「ぐわぁぁぁ!?貴…様!!始めからこれを…狙ってたのか!?」

「確かに私の武器はアナタの装甲とは相性が悪い。そこは認めるわ……しかし弱点を見せ過ぎたわね」

「何!?俺がいつ弱点を…」

「最初からよ。攻撃の為に一々見せていた武器の出し入れ……その厚い装甲の中が他の部分よりも弱いと言うことが」

「糞…」

徐々に体の動きが鈍くなっていく鬼星隊。
胸部でバチバチと火花が散る電流。咲夜は
鬼星隊の内部に走る回路を狙ってナイフを
放っていたらしく体の自由が利かなくなり
鬼星隊は暫くしてピクリとも動かなくなる

「ふぅ…」

こうして相性など諸ともしなかった咲夜の
戦いは静かに幕を閉じたのだった。

「まだ序盤ですからね。体力を温存しないといけないから悪く思わないでね。機能停止してるだけでしょうし運が良ければ誰かに助けてもらえるかもね」

そう言い残した咲夜は奥へと続く廊下へと
歩き出していき先を目指すのだった。
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