野良猫幻想夢(低)

□蘇る悲劇の過去
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鬼星隊との戦闘を圧勝した3人は更に奥の
廊下へと進んでいく。その頃一直線に長い
通路を歩いていた霊夢は天井のない空から
見える三日月を見つめながら歩いていた。

「!」

暫く道なりに歩いていた霊夢は前方に建つ
白い建物に到着した。この中に入ればまた
白い部屋に戻ることになる。割と雰囲気を
楽しんでいた霊夢には残念なことだった。

「天井のないムーンロードもここまでね。また真っ白な廊下に戻っちゃうのか……さようならムーンロード」

三日月に別れを告げた霊夢は扉を開くと
その建物の中へと入っていった。そして
その様子を何処かで見つめていた白衣の
男性はメガネに手を置くと不敵に笑みを
浮かべて自らの『能力』を発現させた…

「…暗い」

中は今まで同様白い空間だと想像していた
霊夢だったが視界に映るのは薄暗く辺りの
様子がよく見えない部屋だった。勿論どの
くらい広いのかも分からないが外から見た
建物の形状からして多少歩いたぐらいでは
ぶつからない程度の大きさはある。

「………」

霊夢はその場から一歩も歩かなかった……
今までとは違う何かに警戒して暫く様子を
窺うことにした霊夢は神経を張り巡らせる

「見えない物程恐怖はないわ。暫くは様子を見た方が良さそうね…」

すると突然目の前の景色がパッと照らされ
明るくなり霊夢はつい目を瞑ってしまう。

「何!?急に…!」

再び目を開くと霊夢はそこに見えていた
光景に言葉を詰まらせてしまった…

「なん…で!?」

霊夢が見た景色は現実世界で言うところの
『都市』と呼ばれる場所だった。周りには
建ち並ぶ高層ビルや標識などがあり青空は
雲1つなく太陽が照らし付ける。だが人が
居る気配は全くない。道路の真ん中に立つ
霊夢は今起きた現象が理解出来ずにいた。

「何よ此処……また飛ばされたって言うの!?けど今回私はちゃんと地面に足を付けていた筈……特に飛ばされた形跡なんて……あの太陽は何!?此処は何処!?」

一瞬にして起きた出来事が理解出来ず頭を
押さえて霊夢は幻術かと可能性を探る…が
照らし付ける日差しの暑さと額から落ちる
汗は正真正銘現実で体感するものと同じだ

「私…どうしちゃったのよ…」

「霊夢…」

「…!!!」

そして…最も有り得ないことが起きた……
背後から聞こえる懐かしい声。だがそれは
もう二度と聞くことの叶わない男性の声…
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