邪馬台幻心夢(前)

□今どきギャル娘と清く正しい射命丸
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「しっかしまぁよくそんなの用意してたなフリージアちゃん」

「旅立つ前に慧音先生から渡されたの。妖怪の山を巡れば天狗さんの領土に入るかもしれないから念の為持っていけって」

「流石慧音先生だぜ!お陰で命拾いしたな…」

「この先に天狗の里ってのがあるのか……だが天狗のあの生真面目な性格は苦手だ。俺はあまり立ち寄りたくはない…」

「でも天狗の里に住んでる射命丸 文さんはこの幻想郷でも多くの情報を持っている人だから、もしかしたら陰陽連の手掛かりを既に掴んでいて新聞の記事にしてるかもしれないよ?」

「新聞?」

「『文々。新聞』っていう新聞を発行しててね。結構幻想郷の彼方此方に配ってるから情報が回るのも早いんだよ」

「情報…か」

「宛てもなく歩き続けるより情報収集した方が良いんじゃねぇのか紫苑?」

「…仕方ねぇか」

「じゃあ決まりだね。天狗の里に向けて出発!」

目的地を決めた3人は奥に薄っすらと見える建物を目指して歩き始める。その姿を遠目から見つめる1人の少女……その顔は怪しい笑みで染まっていた。

「記事になりそうな御一行発見〜」





暫く歩くと3人は天狗の里に到着する。人里に比べて建物の作りなどが大分近代化した印象を最初に受けて紫苑は辺りを見渡す。そこに住む者達は名前の通り天狗達であり、見掛けない訪問者に道行く者全員が3人に視線を送る。

「…さっさとその射命丸 文って奴に逢いに行こうぜ?見られるのは好きじゃねぇ」

「私も初めて来たから何処が文さんの家なのか分からないよ…」

「とりあえず端から見てこうぜ」

「情報を得たいなら文なんかよりこの私の方が確かな情報を提供出来るわよ?」

「「「!」」」

すると一行の前に現れたのは茶髪のツインテールに紫色の天狗帽子を被り、紫のリボンをあしらった1人の鴉天狗の少女だった。服装は襟に紫のフリルが付いた薄ピンクのブラウスに黒のネクタイを付け、同じ色のハイソックスを着用している。ミニスカートは黒と紫の市松模様が描かれたもので、身に付けているものは全体的に紫を基調としている。靴も一本足の下駄で如何にも天狗らしい格好だと言える。腰にはカメラを入れるものと思われる茶色のポーチを付けている。余談だがそのカメラは外の世界で言うところの携帯電話と形状が非常に酷似している。このカメラは河童製で完全防水らしい。筆を模したストラップが付いているがタッチペンなのかは本人にしか分からない。
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