邪馬台幻心夢(前)

□今どきギャル娘と清く正しい射命丸
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「鴉天狗さん…?」

「うーむ…惜しい!あともう少しボインなら…」

「…さっきから尾行してたのはアンタか」

「へぇ…気付かれないように多少距離を取っていたつもりだったんだけど結構やるじゃん。尚更良いスクープになりそう」

「………」

「そう警戒しないでよ。私に敵意があるならわざわざ天狗の里まで泳がせないでしょ?」

「…フンッ」

「それじゃ誤解を解いてもらう為にも自己紹介からしようか。私は姫海棠 はたてって者で『花果子念報』って言う新聞を発行してるよ」

「花果子念報?」

「え、何?知らない感じ?」

「は、はい…あまり耳にしませんね…」

「文々。新聞なら知ってるが…」

「くっ…無駄に多い頻度で幻想郷にバラ撒いてる分だけあって知名度はまだそっちの方が上か……けど私の発行する新聞はあんな弱小新聞と違って明確で確か!信用と信頼で成り立ってるから質はこっちの方が上だよ!」

「随分な自信だな…」

「全くですね。あんな妄想新聞と並べられるだけでこっちとしては不愉快極まりないです」

いつの間にか会話に混ざっていた黒髪の少女の存在に4人は目を見開いて後退る。そのリアクションに少女はカメラを片手にケラケラと笑みを浮かべた。

「いつの間に!?って言いたげな顔ですね。その表情ばっちり頂きましたよ♪」

「あ、文!」

「文…じゃあコイツが射命丸 文…」

「はたて!抜け駆けは感心しないですね!」

「五月蝿いわよ!」

「………」

「おっと!私は文々。新聞を発行している射命丸 文という者です!是非貴方を取材させて下さい!」

「抜け駆けしようとしてるのはどっちよ!?」

「早い者勝ちですよ!」

「さっきと言ってること違くない!?」

「…情報を得る為に此処に来たってのにいつの間にか情報を提供する側の立場になってやがる」

「まさか取材を受ける日がくるとはな…」

「まず取材を受けないと私達の質問にも答えてくれそうにないね…」

そんなこんなで自分達の名前や人里から来たこと、そしてこの旅の目的を聞いた2人はメモ帳にペンを走らせる。そして新たな異変の予兆を感じてか久々のトップを飾れそうな情報に目を光らせていた。

「よーく分かりました!では私がその陰陽連とかいう一派の手掛かりを見つける為の後ろ盾になりますので是非文々。新聞で独占スクープさせて下さい!」

「思いっきり抜け駆けしてるじゃない!!」
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