邪馬台幻心夢(前)
□水龍玉女
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継続して戦うのは得策じゃないと判断した蒼xは一度この場を退くことを決める。その身を足場の水に沈めて、その場から消えるとサリィヴは3人に歩み寄って言った。
「大丈夫かお前ら」
「は、はい…」
「いやぁ…サリィヴ凄ぇな!」
「俺は龍を斬っただけだ。それにあの女の的確な判断力……ありゃ闘りづらいタイプだ。退いてくれて良かったぜ」
「…余計なことしやがって」
「紫苑…だったな。お前も元気そうで何よりだ」
『折角助けてあげたんだからもっと感謝しても良いんじゃないの?』
「け、剣が喋った!?」
「…もう良いぜメリル」
そう言うとサリィヴの手元から剣が飛び出して1人の少女に変貌する。フリージアは顔見知りのある少女に更に驚くことになった。
「メリルさん!?」
「やっほーフリージア!」
「こりゃあ…魂消たぜ!」
「この世界ならそう驚くもんでもねぇだろうよ」
「確かに…言われてみれば…」
「この子が尻に敷いてる連れだったんだな」
「あぁ……だがお前らの旅もなかなかに訳ありの様子だったな」
「………」
「…積もる話しが復讐ってとこか?」
「お前には関係ない」
「紫苑!助けてもらったのに失礼だぞ!」
「良いんだよ。俺も過ぎた質問だった」
「………」
「…だがお前を心配してくれる仲間も居る。そういうのが本当に辛い時支えてくれるもんだ……無碍にせず頼ることも大切だと思うぜ」
「…紫苑君傷見せて」
そう言ってフリージアは紫苑に歩み寄ると打ち身で出来た傷の近くに手を翳す。すると黄色の光がドームを作り、その中に入った紫苑の傷がみるみる治癒していく。
「これは…」
「えへへ…私傷を治癒出来る能力に目覚めたんだ」
「凄ぇ!これがフリージアちゃんの能力なのか!」
「回復を他の人に共有出来る能力か……人間が開花するタイプの中じゃ結構レアだよねサリィヴ」
「能力は自身の象徴でもある。あの子の本質が優しさに溢れているこその力だ……何処ぞのじゃじゃ馬も見習ってもらいたいところだ」
「むっ!」
「痛ぇ…蹴るなよ…!」
「………」
そう大した傷でもなかった為か治癒能力が発動してから数分で紫苑の傷は完治する。フリージアも何らかの力を消費するのかドームが消えると額から汗を垂らして肩の力を抜いてひと息着く。
「はふぅ…」
「…手間を掛けたなフリージア」