邪馬台幻心夢(前)
□豊穣の神
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世界を巡り、自身が何を学んでいくべきかを求めて情報が集うギルドに向かうことになった一行はサリィヴとメリルを加えて妖怪の山の北西を目指す。1日では着けず野宿を何度か繰り返して蒼xの襲来もないままギルドを目指すこと4日目、目的地まであと少しのところまで来ていた。
「結構な距離を歩いてきたな」
「ギルドまであと少しだぞ!」
「楽しみですね!」
「しかし本当に逞しいなお前らは。野宿の心得もあるなんてな」
「フリージアはかなりのアウトドアなんだな!」
「えっへん!」
「だがサリィヴ達もかなり手慣れてるよな」
「はい!私も勉強になりました!」
「役に立てたのなら何よりだ」
「………」
「ん?どうしたんだ紫苑?」
「…いや」
「あの蒼xって可愛い子のこと考えてたのか?」
「あぁ……体勢を立て直すとか言っていたから2日か3日以内には再び仕掛けてくると踏んで警戒していたんだが4日目を迎えた今日になっても一向に現れなくて不審に思ってな」
「でもあの人温泉に入ってたりしてたし…かなりマイペースな人なんじゃないかな?」
「それをフリージアちゃんに言われたらおしまいだ」
「…同意見だ」
「それどういう意味!?」
「…確かにアイツは目先の出来事で優先順位をコロコロ変える気まぐれ野郎だったからな。また何か見つけてそれに没頭してる可能性もある」
「観光したいとか言ってたしな」
「…お前が追っているその女は何か組織に所属しているのか?」
「奴は幻想郷ではなく外の世界の組織陰陽連の上級方術士部隊の心武衆……12人居る部隊長の1人で水の性質変化を得意とする第十部隊の頭だ」
「陰陽連……外の世界で三分の一を牛耳ってる組織ってやつか」
「!…知ってるのか?」
「前…俺が居た組織のリーダーが紫苑と同じ外の世界から来た人間でな。その男は外の世界をまずは創り変えようとしていた。その時潰す標的に入っていたのが外の世界の三大組織『クロノス』、『ケミカル』、そして『陰陽連』だ」
「…いっそ陰陽連は潰してもらってくれても構わなかったんだけどな」
「そしたらお前さん…2年前だから巻き込まれて一緒に死んでるぜ?」
「陰陽連が消し去られるのなら俺の命だって…」
「紫苑…そこから先言ったら本気で怒るぜ?」
「同じくだよ!」
「…あぁ。失言だったな」