邪馬台幻心夢(後)

□次の適格者
4ページ/16ページ

「実はもう1人…居るのよ」

「外出中なのか?」

「…トレイン昨日出てったっきり…帰ってこないの」

「!」

「まぁあの人も昔から飛び出して勝手に帰ってくる人だったから心配も今更なんだけどね」

「うん。だから私は大丈夫だよ……トレインはまた…ちゃんと帰ってきてくれたから……また戻ってくるまで私待ってるから!」

「そうか……ちなみに何かの用事で外出したのか?」

「月に居たラスティには分からないと思うのけど…今幻想郷は外の世界の組織の陰陽連と戦争中なのよ」

「陰陽連のことはレンザから聞いた…」

「レンザ…あぁ紫苑と一緒に旅してる子ね。あの子達とも面識あるのね」

「あぁ。だが陰陽連との戦いでフリージアが…命を落としてしまったんだ」

「「「!!」」」

「そのショックで紫苑は永遠亭を飛び出して……俺もアイツを探す為に今は動いている。此処に立ち寄ってみんなに顔を合わせたらまた紫苑を探すのを再開するつもりだった」

「そぅ…あの子達も色々あったのね…」

「紫苑を探しながらそのトレインって人のことも何か手掛かりが分かったら伝える」

「分かったわ。私達も紫苑について何か情報を掴んだら貴方に伝えるから」

「助かる…」









「…うっ」



不思議な世界で目を覚ました青年は起き上がると体に巻かれた包帯に気付く。同時に腹部を襲う激痛で自分は先日貫かれたことを思い出し、何故生きているのか困惑していると青年をよく知る2人の少女が目を覚ました青年に向けて言葉を告げる。

「あっ…起きたわね」

「お久し振りですトレイン」

「お前達は…天子に衣玖…」

「全くワケ分からないわよ。アンタ自分の世界に帰ったんでしょ?なのになんでいきなり霧の湖で死に掛けてるのよ…」

「それは…」

「衣玖がアンタをもし見つけてなければ…今頃どうなってたか分からないのよ?」

「………」

「まぁ彼の事情も聞いてみましょう総領娘様」

「…そうね。ほら話しなさいトレイン」

「そう…だな…」

紫苑との戦いに敗れたトレインは月読の剣に刺されて霧の湖に沈んだ筈だった。だが彼は衣玖によって救出され奇跡的に助かったのだ。今はその身を天界に寄せて2人に自分の今迄の経由を語る。今幻想郷でも有名になっている陰陽連という組織が絡んでいることに天子も衣玖も嘗ての異変を思い出していた。話しが終わるとまず天子はご立腹な様子で言葉を吐いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ