邪馬台幻心夢(後)

□次の適格者
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「けどアンタが負けるなんて…情けないわね。それでもクリードを倒した男?」

「…だがアイツのあの気迫は凄かった。生半可な怒りじゃない…もっと強い殺意を感じた」

「その少年のことは貴方は存じてないのです?」

「一度だけ霧の湖の慰霊碑の前で顔を合わせたことがある。だけどほんの少し会話しただけで互いの名前も知らなかった。だからなんで俺にあれ程までの殺意を向けていたのかも…分からない」

「そいつも陰陽連の人間とかじゃないの?」

「可能性はある…」

「貴方だと知っての犯行ならば尚のこと貴方を地上に送るワケにはいきませんね」

「本当なら紅魔館に届けようかと思ってたけど…わざわざまた危険な地上に送って死なれてもこっちも目覚め悪いしね」

「だがフランが…みんなが心配する…」

「…大丈夫よ。2年以上も待ってたアイツらが今更……それに直ぐに飛び出していくアンタの性格はみんな知ってるわ。平気よ……信じてやりなさい」

「天子…」

「有難く思いなさいね?普通人間が天界に来れることなんて滅多にないんだから」

「天界の桃は栄養満点なので傷にも効きますよ」

「悪い…世話になる…」

「この借りは大きいわよ?」

「…あっ。それと貴方にこれを」

そう言って衣玖がトレインに手渡したものは自身が使っていた装飾銃ネオ・ハーディスのグリップ部分だった。銃身の半分が両断されてしまい銃口部分は霧の湖に沈んでしまったようだ。

「!」

「これ見た時は本当に驚いたわよ。これ凄く硬い銃だったんでしょ?そんなんを真っ二つに出来るなんて相手はかなりヤバい奴ね」

「霧の湖から回収する際に貴方が握りしめていたそのグリップ部分しか見当たらず残り半分は湖の中に有ると思います」

「そうか…すまなかったな…」

「どうするのよ…アンタこれから…」

「まだ…分からない」

「まぁ幸い此処は天界ですし陰陽連が襲撃してくることもありません。ゆっくり休んで下さい」

「傷をまずは癒すこと。分かった?」

「…あぁ」

天界でまずは傷を癒すことになったトレイン。だが…自身の相棒であるハーディスが大破してしまい今後の戦いに支障を来す中、トレインはどんな選択肢を選ぶのだろうか…?








一一そして…

「太子様!それでは行って参ります!」

「ハイ。ではシキ…布都を任せましたよ。呉々も無茶だけはしないように」

「分かっている」

同時刻、幻想郷では神子の異空間を通ってシキと布都が妖怪の山に足を踏み入れていた。
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