邪馬台幻心夢(後)

□次の適格者
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「うむっ。しかしお主と2人っきりで幻想郷を旅することになるとは思わなかったぞ」

「旅じゃない」

「え?」

「私が今回幻想郷に来た理由は陰陽連のアジトを見つけ出し奴らを叩くことだ。本来は私1人で行く予定だったものをお前も同行したいと着いてきたんだろう」

「おっと…そうだったな」

「改めて聞くぞ。陰陽連は幻想郷に戦争を仕掛けてきた危険な組織だ。私と同行を共にするということは布都…お前にも危険が及ぶことになる。それでも私と共に来るつもりか?」

「我のことを心配してくれるのか?」

「変な勘違いで着いて来られていたら困るからな……念の為に聞いている」

「我のことなら心配要らん。自分の身は自分で守れるし…同じ道士同士ほっとけんからなお主は」

「布都…」

「だから我のことは大丈夫だ」

「…分かった。ならばもう問うまい」

「さて、ではまず何処に向かうのだ?」

「幻想郷を巡っていた頃お前達と出逢う前に何人かの情報屋と交流を取っていた。まずは現状を把握する為に彼らの元に出向く」

「了解だ」

自身も陰陽連と戦う為に幻想郷へと戻ってきたシキは布都と共にまずは交流のあった情報屋の元に出向くことにする。自身の氣で創り出した蜂に乗って空を飛ぶシキだが何故か後ろにちょこんと布都も跨っている。

「…お前は自分で飛べるだろう?」

「良いではないか良いではないか。飛ぶのだって疲れるのだ。楽をしたいではないか」

「…まぁ良い」

そんな理由で彼女を後ろに乗せたシキは情報屋の元に向けて飛び立っていく。数十分で目的地に着いたシキは情報屋から幻想郷の現状を聞き出すことが出来た。

「陰陽連とやらは幻想郷の各所に現れては制圧行為を行っているようだの」

「だが少しでも不利になれば強行はせずに撤退し体勢を立て直している為か今現在目に付く程奴らの被害は受けていない…か」

「妙か?」

「あぁ。幻想郷を制圧したければ一箇所に戦力を集めてそこから攻めていけば良いものを何故戦力をわざと拡散させるような真似をする?……いや…」

「どうした?」

「幻想郷の各所を襲う名目で他に目論見があるならば…納得もいく」

「他に目論見だと?」

「あぁ。情報屋が天狗達から知り得た情報の中に奴らは5つの鍵を探していることが分かった。もしかすればその鍵とやらを所有する者を手当たり次第に探している可能性もある…ということだ」

「鍵とはなんだ?」

「私もそこまでは分からないが…」
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