邪馬台幻心夢(後)

□今の自分に出来ること
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「…そうだな。俺も変わらねぇとな」

「全く…世話が焼けるわ」

「なぁ…艶㮈ちゃん」

「何?」

「俺と…手合わせしてくれないか?」

「…どうして?」

「全力で戦って…全てを出し切りたい気分なんだよ。怒りとか哀しみとか…柵ってのを全部…!」

「私は捌け口ってやつ?」

「こんな格好悪い頼み…みんなには言えないからさ」

「…仕方ないわね。その代わり交換条件よ」

「交換条件?」

「…今日の夕食のコロッケ…1個寄越しなさい」

「あぁ!お安い御用だ!」

纏わり付いて離れない抱え込んだ柵全てを吐き出す為にレンザは艶㮈に手合わせを申し込む。今は何も考えずに只力尽きるまで戦いたかったのだろう。目の前で心具の傘を構える彼女に向けて拳を振るい、今自分の持てる全力を振るってレンザは奮闘する。

勝負はあっという間に決着が着いた。数分後には少し抉れた庭に横たわり肩から息を吐いて顔に付いた土を手で払うレンザが目の前で涼しい顔をしている少女に笑みを浮かべて言葉を吐いた。

「へっへへ…艶㮈ちゃん…容赦なさ過ぎだぜ…!」

「手加減って苦手なの」

「けど…なんかスッキリした…!」

「そぅ」

「…うぁぁぁぁぁぁ!!!」

「!?」

「ふぅ…俺復活!!」

突然大声を荒げたと思いきや立ち上がって決めポーズを取りながら復活宣言するレンザに艶㮈は少し呆れている。だがいつもの活気が戻る彼を見て艶㮈も少し笑みを浮かべていた。

「あとは…紫苑だけね」

「!」

「…紫苑が此処に帰ってくるの待ってるんでしょ?」

「あぁ…一発殴ってやる。んで…一発殴られねぇと」

「そういう男の論理はよく分からないけど…こいしは紫苑を追って行ったでしょうし…あとはあの子に任せるわ。きっと今の紫苑をもう一度変えることが出来るのも…彼女だけだと思うし」

「…だが大丈夫かな…紫苑はまた…」

「一度失った繋がりを護る為に物質化させた心具……その強い意志が再び砕けてしまった以上…立ち直るのは相当の時間が掛かるかもしれないけど…ここで終わるような人じゃないって祈るしかないんじゃない?」

「艶㮈ちゃんって…俺達の味方じゃないって言う癖に異変の時と言い結構面倒見良いよな!」

「なっ…!?」

「世間じゃそういうのツンデレって言うんだぜ?」

「『グラビティサークル!』」

「えっ!?ちょ…待っ!あぁぁぁぁぁ!?」

口は禍の門と言った様子で赤面しながら放つ彼女の方術にレンザは悶絶するのだった。
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