邪馬台幻心夢(後)

□今の自分に出来ること
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幻想郷を放浪する新たな男女、シキと布都もまた今の自分達が出来ることをしていた。陰陽連の襲撃があった場所へ駆け付けては戦闘に介入を続けて被害を少しでも食い止めようと奮起する。そしてその行動がある巡り合わせを現実のものにしたのだ。

「!」

「おっと…こりゃまた…懐かしい顔だな」

「ヴェターク…!それにメリルか…!」

「うぬ?シキの知り合いか?」

「あぁ」

「今はサリィヴって名前でやってる。しかし…どういう風の吹き回しなんだい?アンタが妖怪と共に行動してるなんて」

「そうだそうだ!お前は私達妖怪を毛嫌いしてたじゃんかよ!」

「…そうだったな。あの時の非礼を詫びよう」

「「!」」

あの異変以来の再会でシキは嘗て自分のしてきた行動を謝罪して頭を下げたのだ。これには2人も驚きを隠せないでいると布都が庇うように言った。

「シ、シキは悪い奴じゃないぞ!まぁ確かに少し嘘が下手な奴だがそこも可愛いというか…!」

「なんの話しだ…」

「そうか。お前さんもこの幻想郷で変われたんだな」

「あぁ…そうでありたいと思っている」

「…メリル。此処に居るシキはもう俺達の知っているシキじゃなさそうだ」

「ほ、本当に?」

「これで…本当の意味で俺達は仲間になれそうだな」

「光栄だ。宜しく頼む…サリィヴ、メリル」

「うーん…うん…そうだな!」

「うむ!シキの無罪が晴れて我も嬉しいぞ!」

「…少し勘違いしているがまぁこの場はそれで良い」

溝の出来たあの頃の関係を修復した一行は互いの今の目的を打ち明かした。サリィヴとメリルもギルドの依頼を受けて正式に陰陽連と戦う勢力の1つとなり、今は彼らの襲撃場所に駆け付けては奮闘している。

「しかしシキ…お前さんも紫苑と知り合いだったとはな。アイツは元気にしてたか?」

「あぁ。だが今は何処に居るか分からない。聞きたいことがあり彼を探しているのだが…」

「私達もあれから会ってないからなぁ…」

「なら俺達も紫苑探しに協力するか」

「だな!」

「おぉ!助かるぞ2人共!」

「恩に着る」

「気にしないでくれ。俺達もアイツに会いたいってのが理由でもある」

「また同じ目的の為…力を貸してくれ」

「仲間の頼みとあれば断る理由はねぇな」

互いに再び手を取り合い協力することを誓って交わされる握手にメリルと布都も笑みを浮かべて見つめていた。嘗ての虚空メンバーもまた幻想郷を…紫苑を想い各地で動き出す。
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