邪馬台幻心夢(後)
□巡り逢う邪馬台
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「…母さんも心武衆に居た……だが俺は修羅に理由を問えなかった。その返答を聞いたら俺は今度こそ…」
「お母さんを…取り戻そうよ紫苑」
「無理だ…今の俺には何も出来ない」
「そんなこと…!」
「もう俺は戦えない……戦ったところで何も護ることすら出来ないからな」
「あぅ…」
「…そういえば相部屋とか言っていたな。此処には俺達の他にも誰か居るって意味だよな」
そう言って紫苑は部屋の奥へと足を運ぶ。するとその大き過ぎる部屋の中心に置かれた白い椅子に座っている2人の少女を視界に捉えた。
「!」
1人は11歳程度の容姿に綺麗な金髪の長髪が特徴的な黒服を纏う少女。白一面に黒がチラ付けばすぐに彼女だと気付けるだろう。だがその顔は過去にも何処かで見たことがある。
「あの女に瓜二つの顔を俺は何処かで……そ、そうだ…邑里が連れてた3人の女とそっくりだ…!」
「!…あっ!」
すると金髪の少女とは向かい側に座っていたブラウンの髪の少女が紫苑を視界に捉えると驚いた顔をして歩み寄ってくる。そしてまず最初に紫苑をギュッと抱きしめたのだ。
「漸く逢えたね!」
「!?」
「え…?」
いきなりの出来事に紫苑は勿論こいしまで唖然としている。15歳程度の容姿の彼女の胸はそこそこ大きく弾力を肌で感じていた紫苑だが直ぐに彼女を押し飛ばして距離を取った。
「な、なんだよお前突然…!」
「そっか…一応初対面だったね」
「一応も何も俺はお前なんか…」
「さて問題です。修羅との戦いで突然頭の中に響いた女の子の声…いったいだーれだ?」
「!(頭に声?…そ、そうだ…確かにあの時俺の頭に直接響いた現象は…)」
「分かった?あの時君を導いてあげたのは私だよ」
「お前は…いったい…」
「私は壱与。常世の地に存在した邪馬台国の女王だよ紫苑君」
「常世の地…邪馬台国…ってなんで俺の名前を…」
「感じ取れたから…って言い方じゃ変?」
「そんなサイキッカーな理由で…しかし聞き違いか?邪馬台国っつったら1800年以上も前に存在した国だろ?そこの女王って…お前何歳だよ?」
「15歳だよ」
「ハッ…馬鹿馬鹿しい。真面目に聞いた俺が阿保だったぜ妄言サイキッカー女王」
「うーんと…なんて言えば良いんだろう。少し複雑な事情が絡んでてね…」
「信用出来ないな」
「とりあえず立ち話しもアレだし座ってよ」
「紫苑」
「…分かったよ」