邪馬台幻心夢(後)
□紫苑
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紅魔館の門の前に出た一行はヘカーティアの開く異空間を見つめる。こんな芸当を遣って退けてしまう彼女はやはり神様なのだと改めて感じてしまうラスティにレミリアは声を掛ける。
「じゃあ…呉々も気を付けて。貴方に限ってそういうことはないとは思うけどね」
「あぁ。俺は大丈夫だよレミリア」
「………」
「緊張してますスヴェンさん?」
「ま、まぁな……こっちに来てからの実戦経験なんざ数える程しかなかったし相手は人間とは言え全員俺より格上連中だ。正直震えが止まらんが…立ち止まる理由にはならねぇさ」
「大丈夫ですよ。私も可能な限りフォローします」
「すまねぇな美鈴…力を借りるぜ」
「私はみんなを送り届けた後は陰陽連の根城の入り口付近に閉じた異空間の中で待機しているから帰る時は入り口までちゃんと戻って来なさいね?」
「了解した。では行こう…彼らを助けに…!」
月を救ってくれた紫苑を今度は自分が助けてみせると強い信念を抱いてラスティは異空間へと飛び込んでいく。それに続いてスヴェンと美鈴が後を追うと最後にヘカーティアが中に入り異空間は閉じてしまう。
「………」
「大丈夫ですよお嬢様」
「私は大丈夫よ。それより今は…」
「トレイン…ですか」
「もう直ぐひと月よ。あの馬鹿猫…いったい何処で遊んでいるんだか…」
「フラン様も…トレインが無事帰ってくることを信じて待っています。だから私達も…」
「そうね。トレインはまた此処に帰ってきてくれた…今度も戻ってくるわよね」
「はい」
「貴方も…彼を信頼してるわね」
「そ、そうですか?」
「えぇ。トレインが帰ってきて貴方も嬉しそうにしてたのが記憶に新しいから」
「フラン様に聞かれたらまたお仕置きされちゃうので御内密に…」
「メイドは特別な感情を抱かないものね」
「もぅ…意地悪ですねお嬢様は」
「ちょっとからかっただけよ。さぁ夜は冷えるわ……私達もそろそろ中に入るわよ」
「はい。温かい紅茶をご用意しますね(トレイン……早く帰ってきて下さい…)」
異空間での移動はほんの僅かなものであった。場所が同じ幻想郷だったからかは定かではないが差し昇る光が出口と悟った一行は異空間を抜けると地面に足を付けた。そして視界に広がる巨大な城のような建物を前に直ぐに此処が陰陽連の根城であることが分かった。
「此処だな…」
「なんてデカさだ…」
「迫力がありますね」
「あの中に紫苑が居るのね」