邪馬台幻心夢(後)
□紫苑
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「本当は私も行きたいけど駄目らしいから大人しく此処で隠れて待ってるわ。さっきも言ったけど奪還後は此処に戻ってきてね」
「了解した」
「じゃあ健闘を祈るわね♪」
そう言ってウインクしながら異空間の中へと消えていくヘカーティア。改めて陰陽連の根城を視界に捉えてラスティは美鈴に問う。
「此処からでも紫苑を感じ取れるか美鈴?」
「壁が障壁となって此処からでは詳しい位置までは分かりません。しかし建物の中で練を使えば確実に手練の者に気の揺らぎを感じ取られて私達の存在を知らせてしまいます」
「じゃあ直ぐに追っ手に追われることになるのか……どうするラスティ?」
「闇雲に動き回って何れ見つかるよりかは紫苑の居場所だけでも知り得た状態で見つかった方が得策だな。時間に限りがある以上多少強引な手段でも俺達は前に進むしかない……建物の中に侵入するぞ」
「分かった」
「了解です!」
1つの強攻策に出た一行は陰陽連の根城へと侵入を開始する。そして建物の広い空間に出ると見張りが居ないのを確認して美鈴は意識を高める。そして凝縮させた気のオーラを円状にして展開すると一気に膨張して壁を突き抜け、瞬く間に建物全てを覆う。
「…!」
そして嘗て見たことのある自身の知る気が紫苑のものだと感知した美鈴はその場を駆け出した。
「こっちです!」
「距離はどうだ?」
「そう遠くはありません!でも紫苑さんの他に3人の別の気配も感じました」
「その中に…イヴが居るかもしれないな」
「急ぎましょう!今の練で少なからず誰かしらが私の存在に気付いた筈です!」
「あぁ!」
「まさか…此処に侵入者が現れるとはね」
美鈴の練を感じ取った者は心武衆と総司令の聖犠だ。彼の元に直ぐに駆け付けた修羅は警報装置を起動させて全体に侵入者を知らせる。
「此処のカモフラージュは完璧な筈だったのですが」
「相手も相当の使い手と言うことだよ。侵入者の狙いはやはり紫苑かな?」
「十中八九。既に半数の心武衆を向かわせてありますがもしものこともあるので残りの半数の心武衆には本部の守りを固めるよう指示を出しています」
「助かるよ。だが紫苑は兎も角白のクイーンの身に何かがあれば我々の世界統制にも支障が来す可能性が出てくる。なんとしても彼女だけは守り抜くんだ修羅」
「はい」
「…見せてもらおうか侵入者。君達の思惑をね」