邪馬台幻心夢(後)

□紫苑
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美鈴の案内の元、陰陽連の本部を突き進む一行は厳重に管理されている巨大な扉の前にやってくる。それを破壊しようと美鈴の渾身の正拳突きが繰り出されるが強固な壁はそれを拒む。

「ビ、ビクともしません…」

「なんだよこの扉…特別製か!?」

「それだけこの先へは入らせたくないという証拠だ。ここは俺に任せてくれ…」

そう言うとラスティは扉の近くに設けられた電子機器の前に立って0から9までの数字が振られたパネルに視線を落とす。

「おそらく8桁の数字を入れて初めて作動するタイプの一般的なパスワード形式だろう。同じ数字の重複の有無で桁が変わってくるが最大1億通りあるパターンの中からヒントもなしで短時間に解読することが出来るのは…俺くらいだ」

ラスティはパネルの一部分を取り外すとポケットから取り出した携帯型のハッカー道具を使って電子回路を弄り始めた。

「す、凄いですラスティさん!」

「俺も銃器とかはよく弄るが機械の類いはさっぱりだ……やるなアンタ」

「友達で…機械弄りが得意な奴が居たんだ。そこで教わって俺も知識を得たが…ここで役に立つ時がくるとは俺も思わなかったよ」

そんなことを言ってる間にパスワードを解読したラスティは8桁の数字を入れていく。すると扉は大きな音を立てて開き、白い空間へと続く道が視界に映る。

「なんだ此処は…」

「不思議な場所ですね…」

「立ち止まってる暇はないぞ2人共」

「そ、そうだったな」

「行きましょう!」

切り開いた道を進んで一行は前に進む。そしてついに再会の時は訪れたのだ……白い空間の奥で立っていた4人の男女の中に紫苑の姿が見える。

「紫苑!」

「!…アンタは…ラスティ…」

「紫苑君達の知り合い?」

「あ、あぁ…」

「わぁ!みんな来たの!?」

「こいしさんまで此処に居たんですか…」

「イヴ!…良かった…無事で…」

「貴方は…スヴェン…?」

「あぁそうだ。お前を迎えに来たんだ…」

「私を?」

「一緒に帰ろう…イヴ」

「でも…私は…」

「あの時言ったこと…まさか忘れたのか?」

「!」

「お前は『生体兵器』なんかじゃねぇ…人間だ!」

「スヴェン…」

「お前はもっと人間らしく生きなきゃならねぇんだ!だから…お前を此処から連れ出しに来た!今度こそ…迎えに来たんだよ!」

「………」

「俺と一緒に…来てくれるか?」

「………うん。私もスヴェンの側に居たい…!」

「良し…そうこなくちゃな!」
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