邪馬台幻心夢〜An additional story〜
□STRAY CAT
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「腹が減ったな。まずは飯を調達せんといかんな……また無理矢理店を開けてもらうか…」
店のシャッターは何処も固く閉ざされ、町は静まり返っていた。無理言ってシャッターを開けてもらい食材を調達するスヴェンは昨日1日掛けて聞き込み調査をしたが住民は口を閉ざすばかりである。だがその態度が逆に証明しているとスヴェンは確信を得ていた。
「(間違いない。この町にターゲットが居る…)」
あとはターゲットの足取りさえ掴めれば…と抱きながら食材の調達を終えた帰り道のことだった。バイクのエンジン音が聞こえるや否やその場で停車して地面に足を付ける男を視界に捉えるスヴェン。その男を一目見て只者ではないと彼は長年の勘が訴え掛けてくるのを肌で感じ取った。
「(なんだ…アイツ…)」
「………」
ピリッとその存在感に気圧されたスヴェンが頬から汗を垂らしていると、その男は風に煽られそのまま倒れ込んでしまった。突然の出来事にスヴェンは思わず青年の元に駆け込んで安否を確かめながら呼び掛けた。
「ど、どうした!?おいお前…!」
「メ…メシ…腹減った…」
「………」
失神した理由が分かり呆れて何も言えなかったスヴェンは仕方なく青年を自分の寝泊まりしているホテルへと運び込んだ。こんなどうしようもないベタな出逢いがトレインとスヴェンの初めての巡り会いだった。
「ぷっはぁぁぁ!!生き返ったぁ!いやぁ感謝するぜアンタ!ホントはオレンジジュースよりミルクが良かったけどな!」
「テメェ…人の食料全部平らげてぬけぬけと…」
「ふぅ。腹いっぱい食ったの本当久し振りだな。ここ最近ずっと金欠だったしよ」
「…掃除屋だなお前」
「お、なんで分かったんだ?」
「お前の脚に付いてる銃……それを持てるってことは武器の所持を許可されてる掃除屋か犯罪者の何方かだろ?お前の面はとても犯罪者には見えねぇからな」
「…そう思うなら嬉しいね」
「嬉しい?」
「あーいやいや。アンタの言う通りちゃんとライセンスも持ってるプロスイーパーだぜ?最も正式にこの仕事始めてまだほんの2ヶ月位だけどな」
「駆け出しか…(2ヶ月じゃまだ大した情報のネットワークもねぇだろう。しかしこいつ…)」
ライセンスを見せて証明するトレインに嘘偽りはないだろう。駆け出しの掃除屋が此処に来たということは自分と同じ目的であると踏んだスヴェンは言葉を付け足して言った。
「お前もやっぱパロデム一味の情報を聞いてこの町へ来たワケか?」
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