邪馬台幻心夢〜An additional story〜

□STRAY CAT
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「パロ?なんだそんな奴らの情報なんか知らねぇぞ」

「お前…奴らを追って此処へやって来たワケじゃねぇのか?」

「あぁ。この町には道なりに進んできただけさ。俺は掃除屋稼業しながら町から町へ気ままに渡り歩いて世の中見て回ってんだ」

「き、気ままに?(なんだコイツ…只のお気楽野郎なのかよ…偶に居るんだよな。こういう掃除屋の仕事をナメてる奴)」

「おぅよ!」

「お前ライセンス取ってから何人犯罪者捕まえた?」

「いやぁ…それがまだセコいひったくり犯1人だけ!なかなか犯罪者見つけるってムズいよな!まぁ挙句空腹でぶっ倒れたってワケだ!そろそろ真面目に情報集めとかしなきゃいけねぇとは思ってたんだけどさ」

「………」

「なぁ。ところでパロデム一味ってどんな奴らだ?」

「…こいつだ」

半分呆れながらも懐から取り出した手配書をトレインに見せるスヴェン。写真に写る男は凶悪な顔付きでその危険度はAランクで賞金も650万と大物である。

「おぉ!賞金650万!」

「賞金より危険度を見な。A級の犯罪者でお気楽思考の駆け出し掃除屋は関わらねぇ方が無難な相手さ」

「そうなのか?」

「パロデム=ローデンス。軍隊の出身でありとあらゆる武術や体術を身に付けた殺しの達人だ。性格は極めて冷酷……6歳の子供を盾に警察と銃撃戦を繰り広げたこともある」

「へぇ…」

「そしてパロデム一味は奴が自分に従う犯罪者だけを集めて結成した武装強盗団だ」

「それがこの町に居るってことか?」

「そうだ。この町の保安官は一週間前に連中に殺されたらしい。ミンチでな……だから住人は怯えきっている。家に閉じ籠って奴らが此処から出ていくのを待つだけだ。だが…そうはいかん。俺が捕らえる!」

「アンタも掃除屋か」

「あぁ。これでももう3年近くやってる」

「アンタなら楽勝で捕らえられるってワケか?」

「…分からんさ。相手はA級…しかも団体だからな。だが…人の道を外れた悪党がそこに居るのが分かっていて見過ごすことなど出来ん…!」

「!」

「お前は何事も起こらない内にこの町を離れろ。そして出来れば掃除屋を辞めて普通に職に就くことだ。お前の為にもな……飯代は奢ってやる」

忠告を告げると1人武器を拵えてホテルを後にするスヴェン。その顔は覚悟を決めた男の血相であり、彼が視界から消えていくのを見届けたトレインはなんだかんだ世話を焼いてくれた彼に好意を抱いていた。

「真面目な奴……でも良い奴だね…」
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