邪馬台幻心夢〜An additional story〜
□STRAY CAT
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「逃げられると思うか?」
「くっ…!(流石A級…小細工に引っ掛かる相手じゃねぇ……使うか?…『予見眼』)」
相手は間違いなく技量では自分より格上だ。そんな敵と渡り合える唯一の能力を発現するか否かで頭を悩ませるスヴェンだが煙幕が晴れて他の犯罪者達も集まってくると、多勢にこの『能力』は不利と抱いて眉間に皺を寄せる。
「(いや…相手の動きを予見する予見眼はタイマンの戦いでこそその威力を発揮する。この人数では…)」
「カラスの餌にしてやるぜ…!」
「糞…(こんなとこで…終わりかよ…)」
銃を片手にトドメを刺そうとするパロデムにスヴェンは身構えたその時……突然廃工場の窓が割れる音と共にバイクが中に侵入してくる。その男に誰もが注目を向けるとスヴェンは見覚えのある男に驚愕する。
「アイツ…!」
「なっ!?」
「なんだテメェ!?」
突然の介入者であるトレインに啖呵を切る犯罪者達を見て笑みを浮かべながらトレインはバイクのアクセルを踏む。猛スピードで中を駆け回り男達を翻弄するとトレインは右脚のホルスターから取り出した銃を抜いて次々と男達の手に持った武器を撃ち抜いていく。
「うおっ!?」
「なっ!?」
「なんだアイツ!?」
「あの男…なんて正確な早撃ちを…!」
お気楽思考の青年が繰り出す的確な狙撃はスヴェンを唖然とさせた。自分の領土を踏み躙られ蹂躙されていることに怒りを覚えたパロデムはトレインに向けて発砲する。その弾丸が彼のバイクに被弾するとエンジンに引火したことでバイクは爆散してしまう。
「ヒャッホゥ!盛大な花火だぁ…ぜ…!?」
「アンタに…」
爆散した煙の上で既に銃を構えるトレインにパロデムは戦慄を抱く。 全てを察したのだ……ここで終わりだということが。
「不吉をプレゼントしてやる…!」
「うぎゃあぁぁぁぁ!!」
刹那トレインの繰り出した早撃ちがパロデムの悪事に終止符を討つ。あまりの早さに銃も耐え切れず空中で大破する音が工場に鳴り響いた…
それから数十分後。通報で駆け付けた警察達が既に倒れて気絶しているパロデム一味を確保する。その様子を近くで見つめるトレインはやはり最初に自分が感じた通り只者ではないということを再認識させた。
「お前…何者なんだよ…?」
「野良猫」
「い、いや…答えになってねぇよ」
「そうか?まぁ別になんだって良いじゃねぇか!しっかしまぁ…また壊れちまったな。やっぱ只の銃じゃこんなもんか…」
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