野良猫幻想夢(上)

□紅蓮の紅魔館
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言われるままに先頭を歩く咲夜に着いて
行くと他とは少し異なる扉に辿り着く。

「んだこの扉…他のより豪華な作りだな」

「この部屋の中にこの『紅魔館』の主が居ます」

「つーことは一番偉いのか」

「無礼な振る舞いだけはしないことね……お嬢様を怒らせたらアナタ死ぬわよ?」

「そりゃ怖いな(このメイドが仕える主か…いったいどんな奴なんだ?)」

こんな強いメイドの主はどんな人物なのか
トレインの想像はどんどん膨らんでいく。
そして扉が開くとトレインが想像していた
人物とは全く異なる幼き少女が見るからに
豪華な椅子に座っていた。青いミディアム
ウェーブの髪に深紅の瞳、背中には蝙蝠の
ような羽が生えている。この少女こそこの
紅魔館の主レミリア・スカーレットだった

「咲夜……紅茶は?」

手摺りに寄り掛かっていたレミリアはその
見える光景に紅茶が見当たらずそう言うと
咲夜は視界をトレインに向けて言った。

「それが途中不審な人間を見掛けましたのでお連れしました」

「人間って…その寝癖頭みたいな男がそうかしら?」

「誰が寝癖頭だ」

「どうやら外の世界から来たようです」

その一言にレミリアは特に表情を変えずに
トレインを暫く観察した後に言った。

「どうやって来たの?」

「さぁな……知らない間にこの幻想郷ってとこに流れ着いてたみたいだ」

「貴様……お嬢様に対して馴れ馴れしいですよ!」

「別に構わないわ……それで幻想郷はもう慣れたの?」

「いやまだ俺も幻想郷には戸惑うばかりさ……それよりもお前」

「ギロッ…」

「…君がこの館の主かい?」

「えぇそうよ」

「その後ろにヒヨヒヨさせてるそれは……やっぱ羽だったりしちゃうの?」

「私は吸血鬼なのよ」

「………」

「?…どうしたの人間?」

「多少の発言は覚悟してたがまさか次は吸血鬼ときたか」

トレインは驚かされてばかりだった。主と
名乗る割には幼い容姿の幼女。それに加え
吸血鬼とまで言われては外の世界から来た
普通の人間は理解が追い付かないだろう。

「………」

「まさかアンタも…」

「残念ながら私は人間ですよ」

「人間!?……人間なのにあんな能力使えるのかよ!」
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