野良猫幻想夢(上)

□動き出す者達
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紅魔館一一紅い廊下。そこでトレインは
咲夜と何やら話している様子だった。

「なぁ咲夜さんよ」

「なんですか?」

「この館にも世話になってるし俺もそろそろ此処で何か手伝えることとか探そうと思ってよ……何かないか?」

「…クスッ!」

込み上げそうになる笑いを必死に抑える
咲夜を見てトレインは顔を顰めてしまう。

「なんで笑うんだよ?」

「まさかトレインからそんな言葉が出るなんて思いもしませんでしたよ!」

「遠回しにしてるが馬鹿にしてんだろ?」

「いえ……すみません…」

違うと言いたかったが再びこみ上げてくる
笑いを抑えるのに今は必死らしい。

「そのニヤけ顔やめろよな」

「しかしまだ右腕が…」

「片手があれば十分だろ?」

動く左手をブンブン動かしながらやれると
主張しているトレインを見て咲夜は無駄な
心配だったと悟って1つの仕事を与える。

「では1つお願いがあります」

「ん?」

「パチュリー様の本が先日魔理沙に盗られてしまったのでそれを奪取する仕事をトレインにお任せしたいです」

「パチュリー?」

また知らない名前が出てトレインは誰?と
言った様子で口を開くと咲夜は返答を返す

「この紅魔館の地下にある『大図書館』と呼ばれる場所に居ますよ」

「けど夕食の時とか居ないじゃん」

「パチュリー様は殆どを図書館でお過ごしになられますから」

「なんか頭痛くなりそうだなぁ……それで魔理沙って……あぁ!この前俺を新種の動物発見!みたいなノリで来た魔法使いか」

「知っているなら話しは早いですね」

「んでその本の名前は?」

「グリモワールと呼ばれる魔法書籍です」

通称グリモワとは魔法使いにしか解読が
出来ない本である。別の者が読んだ場合
なんて書いてあるかすら分からない。

「了解。んで魔理沙は何処に居るんだ?」

「家は『魔法の森』と呼ばれる森の中ですが図書館には居ませんでしたのでおそらくこの時間帯は霊夢の所に居ると思います」

「霊夢か!」

「霊夢も知ってるんですか?」

霊夢と聞き知っている様子のトレインを
見た咲夜はそう質問すると約ひと月前の
話しをトレインは咲夜に語り出す。

「俺が最初に世話になった奴でな」

「では場所も分かりますね?」

「あぁ」

魔理沙に会いに行く為に博麗神社に向かう
話しになったトレインすると彼の背後から
突如足音が聞こえ徐々に大きくなる…
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