野良猫幻想夢(上)

□能力の手立て
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午後0時を過ぎ漸く目が覚めたトレインは
先程とは少し違う何かに気付いた。

「……!」

起き上がるとトレインはベッドの上に居た

「あれ?昨日は確かベッドの前で倒れた筈なんだが……」

普通なら紅いカーペットの上で
目覚める筈がベッドの上にいつの間にか
移動していた事にトレインは疑問に思った

「………」

だがそれ以上にトレインは心配な事が
あって仕方なかった……いつも居る筈の
彼女がまだ……居ないのだから。

………すると扉が音を立てて開いた。

一一一ギィィィ

「!」

トレインはすぐに扉の方に視界を
向けると扉を開けたのはフランだった。

「フラン!!!」

ずっと捜していた彼女が突然現れ
トレインは急いでフランに駆け寄る。

「っ!」

フランは叱られると思い目を瞑った。
だが彼女が想像していた事とは
大分違う現実が待っていた。

「!!!」

抱き寄せられフランは戸惑っている様子
だった。叱られるとは逆のその行為に……

「今まで何処に行ってたんだよ!この……馬鹿野郎!」

今までで一番強い抱きしめにフランは
まだ戸惑ったがそれ以上に嬉しかった。
自分の事をこんなにも心配してくれて
いたのだから。その嬉しさは瞳から
零れる透明な滴が自然と語っていた。

「ごめんなさい!」

「………」

トレインの胸で泣き崩れるフラン。
彼女が落ち着くまで頭を撫でて
その時をじっと待つのだった……






「んで今まで何処居たんだよ?」

落ち着いたのを確認したトレインが
自分に視界を向けるフランに問うと
彼女はまた戸惑った様子でもじもじする。

「………えっと」

「?」

「ずっと図書館に……居たの」

「………ハァァァァァァ!!?」

まぁ当然の反応。そりゃ外をあんだけ
捜しても見つからないワケだ。だって
本人ハナっから紅魔館に居るんだもん!
……とトレインはすぐに思った。

「ご、ごめんなさい!」

再び涙目になりながら必死に謝るフラン。
トレインは頭を悩ませながら言った。

「お前みんなになんて言えばいいんだよ…まさに犯人は現場に戻るじゃねーか……」

「ごめん………なさい」

「いいや許さねぇ」

シュンとする彼女を見て意地悪な笑みが
浮かんだトレインはフランの右手を
グイッと引っ張りベッドへと押し倒す。

「!!?」

ベッドに仰向けで倒れたフランは
きょとんとした表情で今起きた出来事が
まだ理解出来ていない様子だった。

「………」

だが時間の経過と共に徐々に自分が今
どんな状況であるかを理解したフランは
次に何をされるのかが不安だった。

「トレイ……ン」

「悪い子にはお仕置きだ」

そう言うと同時にトレインは大の字で
がら空きだった彼女の腰に手を置き
パンをコネるように指を動かしその
強弱を付けた力でフランをくすぐる。

「アヒャッ!?ヒャハハハハ!やめっ……ごめんなさぁい!!!」

開いていた足を曲げながら閉じて
手足をバンバンとさせながら笑い転がり
謝るフラン。その姿はまるで海老のようだ

「お前にも俺達の疲労分ぐらいにたっぷり疲れてもらうぞ」

悪乗りが結構好きな性格のトレインは
無抵抗で笑い転がる彼女を見て更に
楽しくなり彼は更に強くフランをくすぐる

「フヒャハハハハハッ!嫌ぁぁぁぁぁぁ!くすぐったい!!!」

悶えながらけたたましく笑い転がる
フランは必要以上にたっぷりと
お仕置きを受けるのであった。
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