博麗幻天夢

□Beginning, in the reason
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今は1人暮らしで学校にも行かずコツコツとバイトをして親が残した家で生活している。勿論年齢がまだ働けない歳の頃には独りで生き抜く為に平気で掏摸などもやった……お陰様で全てにおいてかなり器用だった。

そして16歳を過ぎてちゃんと働ける年齢になったあとは転々とバイトをして貧しくも裕福もなく俗にいう普通の生活を現在はしていた。今はバイト帰りに自分の家の屋根の上で空を見上げるのが零射の唯一の日課だった。いやそれしかなかった…

「今日は風が強いな…」

風が強くなるのを零射は感じた……この季節には珍しい肌寒さを感じながら家の中へと入っていくのだった……だがその様子を只1人空から見つめる女性が居た。

金色のロングヘアに現代人にしては非常に目立つ俗に言うコスプレ衣装のような恰好……何より驚愕なのがその女性は空の上で日傘を挿しながらその場で浮いていた……手に持つ扇子で口元は見えないが目元を見る限り不敵な笑みを浮かべていたのは容易に見て取れた……そして零射が家の中へ入り姿が確認出来なくなると女性は背後に黒い暗黒の空間を空けその中へと入っていった。閉じる瞬間その裂け目の中からは無数の目玉が広がっていた…

「今日はヤケに肌寒いな…」

零射は野良猫みたいな生活をしている。だから屋根の上に行くと野良猫が集まる。おそらく仲間だと思っているのだろう。

「………」

猫だけはいくら零射と居ても死ななかった……不思議な話しだった。人間以外には効果がない呪いなのかもしれない。

「やることないし……夕食食べて早く風呂入って寝ようかな…」

学校に行ってない零射は1日中特に人との関わりを持たないバイトをしている。まだ他人には多少の会話や相槌程度なら呪いも牙を向かないことを知った。だから家計の経済的には一応困ってはいなかった。唯一困ることがあるとしたら疲労ぐらいだろう。

いつものように終わる1日。そんな生活がこれからも続くと思っていた。ずっと…

一一一一一その筈が…
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