博麗幻天夢

□The reality of the vision
10ページ/12ページ

「だから呪いとはまた違うと思うのよ」

「…まぁ早い話しが俺は危険だよね」

「零射?」

つい呟いてしまった一言に魔理沙は霊夢に向ける視界を零射に変えてそう言った。そして零射は心の底で思っていた一言を……ついに2人に言ってしまった。

「後々厄介なことになる前に俺を殺してくれないかな?」

零射の言った一言は2人の表情を変えさせ再び驚いた顔になった。

「なっ!?」

「何言ってるの?」

霊夢も視界を零射に向けてそう言った……だが一度言ってしまったその一言が全てのきっかけで零射は次々と2人に向けて……自分の奥底で思っていたことを…言った。

「元々俺は死んだつもりでいたし……いつ誰かを危険に晒すか分からない今の俺は生きてない方が良いと思うんだ」

「「………」」

無言になる霊夢や魔理沙……だがここまで開いてしまった口はもう止まらない…

「勿論神社の中じゃ俺の血で汚れちゃうからちゃんと外で…」

一一パチンッ…

言葉の途中に零射の顔は揺れていた。頬にジンジンと感じた痛みからして今自分は叩かれたのだと思い勢いのままその場に倒れ込み零射は頬に触れながら言った。

「…こんなんじゃ殺…」

「ふざけないでっ!!!」

…今までで初めて聞いたような女の子の怒鳴り声が零射の心の奥まで響いた…

「いつ誰かを危険に晒すか分からないから今の零射は生きてない方が良いですって?……命を!人生を甘く見てるんじゃないわよ!!」

「霊夢…」

ここまで怒りを露わにした霊夢を見るのは初めてなのか魔理沙も身を震わせて言葉を失っていた。だがそれは零射も同じだった。

「………」

「死んだら何もないのよ…」

その後暫くの沈黙が続く。それから零射は叩かれた方の頬を触り立ち上がると足がガクガクと震えていた……だが今はそんなことよりも霊夢に言いたいことがあった。

「けどこのままじゃいつか君達が……俺のこのワケの分からないもので死ぬかもしれないんだよ!?」

頬をぶたれたことも怒鳴られたことも今は懐かしい遠い記憶のように感じたが零射は完全に動揺していた。その久方振りに抱く感情で……少し震えた声で零射は2人に向けてそう言葉を言い放つ。すると霊夢はドンと胸を張って返答を返した。

「上等よ!殺してみなさい!この私を……殺せるものならね」

「!」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ