博麗幻天夢
□The reality of the vision
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………?
気が付き起き上がると視界には沢山の木が映っていた。
「木…」
死んだと思っていた零射だったがそこは地獄でも天国でもないとすぐに悟った。何故なら視界に見えるのは想像していたイメージとは程遠い薄暗い森だったからだ。
「…てか、落ちたよね俺」
体の無傷に疑問を抱く零射だったが次に見た光景によって零射の考えはまた一気に変わるものとなった……まず茂みが動く。
「!」
生い茂っていた茂みから現れたその何かに零射の目は見開いた。視界に映ったのは…
「人間だぜ!こんなとこに迷い込んで馬鹿な奴だ!……美味そうな匂いがするなぁ」
「…えっ?」
よく本で見る二足歩行の化物をもう少し人間に近付けたような妖怪を初めて見た。現れたのは名も知らないような妖怪であり零射はとりあえず冷静に頭の中を整理して日本語を喋るなら自分の言葉もある程度は通じるだろうと思い話し掛けることにした。
「…どちら様ですか?」
「どちら様だぁ!?テメェ人間風情が何生意気なこと言ってんだ!?あん!?」
自分なりに丁寧話し掛けた筈が逆に妖怪に怒鳴られボロクソに言われたことに零射は流石に少し傷付いたが次に何故落ちた筈が森のような場所に居るのかを疑問に思った。
「人間風情って……君人間じゃないからって妬まないでよ。俺はちょっと今いろんなことを同時に抱いたせいで混乱してるんだから……本当だったら君を見た時もっとまともなリアクションが取れたのに…」
言われっぱなしに納得のいかなかったのか零射はちょっと嫌みを込めてそう言うと…
「テメェ……死にたいらしいな?」
案の定目の前の化物はご立腹になった。後から気付く後悔は毎回のことである。
「美味しく喰ってやるから有り難く思いやがれ人間!!」
そう言うと同時に変な化物が零射に牙を向けて接近してくる。この時零射はさっき言った言葉に今更だが少し後悔していた。学校行ってないしやっぱり自分は馬鹿だな…と重ね重ね毎回のように強く思った。
既に此処は死後の世界と勝手に決め付けて死んだ状態でまた死んだらどうなるのかを考えながら化物を見ていた零射だったがまた次の光景で頭に浮かぶ言葉が変わる。
「『スターダストレヴァリエ』」