博麗幻天夢
□A new life
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「まぁ最終的にはお前のとこに連れてきて良かったぜ!」
「ありがとう魔理沙……霊夢に会わせてくれて」
「そんなに私と会えて嬉しかった?」
「あぁ…嬉しかった」
「!」
「まだ生きてて良かったよ」
また生きる希望が持てた……それを自分に与えてくれた……それが嬉しくて零射はあとで思い出せば恥ずかしくなるような言葉を次々と出していた……だが馬鹿な零射はそんなこともこの場では知らずに次々と喋っていた……それ程の影響だった。
「そぅ。なら良かったわ!」
だが意外と霊夢の反応は薄かった。良くも悪くもなかっただけまだマシとは思うが…
「とりあえず零射のことは任せたぜ霊夢!もう夕方だし私はそろそろ帰る」
「分かったわ」
気付くと外はもう夕日に包まれていた……魔理沙が帰ると分かると霊夢は襖を開き境内に出て鳥居に移動した魔理沙を見送る。
「じゃーな!」
そう言うと魔理沙は立て掛けていた箒を手に取って跨いだ後空へと飛び去っていく。それを見て零射が抱いたのは相変わらず見事に飛んでいるというところだった。本当に現実世界の非常識がこの世界では常識である…と感じさせる光景だった。
「…えーと」
まだ零射には1つ不安なことがあった……それは東に傾くあの夕日を見てすぐ抱いたことであり今後に大きく関わることだった。
「何?」
「俺はどうしたら?」
この言葉は勿論今日からの零射の寝床を意味していた。元の世界に戻れないなら勿論あの家にも帰れない。本来ならこの世界に来て一番最初に考えないといけない問題だが零射は数々の世界観に圧倒され、つい今さっきまで忘れていたのだった。
「…此処に住みたい?」
「!」
少し期待していた言葉が返ってきて零射のテンションは少し上がった。いやもしもここで見捨てられたら自分は昼間に会ったあの化物達の餌になると容易に想像出来る。
「だ、だけど悪いよ…」
「他に宛はあるの?」
「…ない」
「じゃあ泊まっていきなさいよ。夜の幻想郷は柄の悪い妖怪達が多く出没するし丸腰の人間が夜中を宛もなくさ迷ってたらすぐに死ぬわよ…」
「ゴクリッ…」
先も述べたが大体想像はしていた。だがやっぱり自分以外の人に言われると流石にゾッとする……口に溜まる唾を飲み込み真っ青な顔になり硬直している零射。