博麗幻天夢
□A new life
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名前もある筈のないメチャクチャな構えに霊夢も不思議に思いツッコみを入れる。適当な構えなのでどう答えたら良いのか迷った結果零射は浮かんだ名前を言った。
「…志村拳」
咄嗟に浮かんだその名前はなんか言っちゃマズいような感じもしたが実際こんな拳はある筈がない。いや存在していたらそれはそれでかなり大変なことになりそうだ。
「兎に角私を倒してみなさい!」
そう言うと霊夢はさっきのお札を数枚取り出してすぐにそれを零射に向けて放つ。
「うわっ!」
それなりに速いお札が風を横切り加速し数秒単位で零射に真っ直ぐと飛んでくる。とりあえず横に避けたりとかわし方は結構メチャクチャだったが現時点ではまだその動作でなんとか全てを回避することが出来た。
「初めてにしてはやるわね!じゃあ少し数を増やすわよ」
思ったよりも零射がやれることに感心の笑みをクスリと浮かばせた霊夢は両手にさっきよりも多くお札を構えそれを勢いよく放つ。お札の数が増えて当然かわす動作が多くなった零射は段々体力の低下を物語る息切れが目立つのを感じていた。
「ハァ…ハァ…」
「大丈夫?休憩するかしら?」
そんな様子を察した霊夢は放つお札を一旦止めて膝に手を置く零射にそう言った。
「いや……このまま続けたい!」
だが零射は霊夢の言葉を拒み敢えて鍛練を続行した。理由はここで退いたら自分は男じゃないというプライドからきている。
「そうこなくっちゃ!」
そう言ってくれると思っていたのか霊夢はニコッと微笑みながら再びお札を構える。そしてさっきの動作が再開されるのだった。
「(1枚1枚を見てかわしてたんじゃ反応が追い付かない!少しかすってでも…)」
長い時間かわすことで少しずつだがお札の放たれるタイミングやスピードの様子が分かってきた零射はその経験を元にしてある決心を決めた。お札の方へ向けて走り出し徐々に霊夢との距離を縮めていく。
「接近すれば!」
「!」
今までその場でかわすことだけの動作を行っていた零射が突然スタイルを変えて自分へ接近してくるのに霊夢も血相を少し変え様子を窺いながら尚もお札を放つ。
「(常に全体を見つつ全てに一気に反応するんだ!今はそれしか…)」