博麗幻天夢

□A new life
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「でもペンとかは右で持つのよ」

「どうして?」

「左利きはね……字を書く時追い書きになっちゃうのよね。だから不便だし小さい頃に持ち替えたのよ。だから両利きね」

「ふぅん。俺は純粋に右利きだけどね」

「見れば分かるわよ。でも1人で暮らしてたのなら零射も料理とかは出来るんでしょう?」

口に入れた料理を飲み込み霊夢は零射に聞いていた。同じ1人暮らしでも料理の腕にはかなりの差があるが自分も苦手というワケではないのは確かだった。

「!……まぁ並程度はね。料理に味とかを追求したりはしなかったから食べれる程度にちょこっとね」

1人暮らしをしている零射は生きる為には勿論それなりのスキルが必要だ。その為万能にいろんなことを並程度で出来る。

「だったら今度は零射に作ってもらおうかしら?」

「良いよ」

こんな会話がとても楽しく飽きることなく霊夢と会話をしながら夕食を食べるのだが……途中何かに気付いた零射は急に口数が減りすっかり黙り込んでしまった。

「………」

「どうしたの?」

零射の様子の異変に気付いたのか霊夢はそう聞いてきた。悟られたことに零射はビクッと背筋を伸ばし慌てて返答した。

「いや!この魚の煮物が美味しいなって思って…」

「魚好きなの?」

「う、うん」

勿論零射のこの異変は魚が美味しいとはまた別の理由にあった。丸いテーブルでスペースもあるのに何故か霊夢は零射のすぐ隣に座っている。それを意識すると突然今まで経験したことのない凄い緊張が沸き起こる。その理由も知らずこれまでに体験したことがないこの環境に戸惑いと……嬉しさを抱き始めるのだった。






夕食も終わりテーブルには食べ終わった食器が見える。すると霊夢は零射に言った。

「お風呂先に入る?」

「いや霊夢から入って良いよ。俺みたいな居候が先に入るなんて失礼だよ」

「別に気にしなくても良いわよ?」

「いや霊夢から入って良いよ!俺は後片付けやっとくから」

「そう?悪いわね!じゃあ先に入らせてもらうわ」

そう言うと霊夢は立ち上がり襖を開いて居間を出て行く。1人になりシーンとした空気の中手をパンッと鳴らし続いて零射も立ち上がると食器に手を伸ばした。

「さてと…」

掴んだ食器を持てるだけ持ち台所に運ぶと洗剤でそれを黙々と洗い続ける。そして零射がつい呟いてしまった一言が…
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