博麗幻天夢
□Ability
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翌日になり朝食を済ませた零射は今日も霊夢と共に神社の前へと足を運ぶ。勿論昨日と同じように鍛練を行う為である。
「良い天気ね」
霊夢は空を見ながら欠伸をする。その姿を見て零射は相変わらず呑気だなと思った。
「…ん?」
「霊夢?」
霊夢は暫く空を見上げていると欠伸からハァ…とため息へと変わっていく。
「今日の特訓は大変かも」
「?」
顔を顰めながら霊夢はそう言ったがまだこの時点では零射にはその意味がよく理解出来なかった…がその理由はすぐに分かることになる。こちらに向かって来る小さな影は近付くに連れて徐々に姿がハッキリし見たことのある人物へと変わっていく。
黒い尖り帽子に白と黒の服、箒に乗って真っ直ぐとこちらに向かって来る金髪少女……言わなくとも分かってしまったその魔法使いは神社に到着すると石畳に着地し零射達に視界を合わせ右手を前に突き出す。
「よぅ霊夢!零射!」
案の定空から現れたのは魔理沙だった。突き出した手で荒く零射をバシバシと叩く魔理沙を呆れた様子で見つめる霊夢。
「魔理沙か……てか痛いよ!」
「こんな朝っぱらから境内なんかに出て何かやるのか?」
お賽銭箱の前で立っていた2人の様子を見た魔理沙が興味津々の様子でそう聞くと霊夢はまだ零射の背中をバシバシと激しく叩いている魔理沙に向けて言葉を返した。
「零射の能力を開花させる特訓よ」
「(魔理沙って……こういうの好きそうだよね)」
「おぉ!面白そうだな!私にもやらせろよ!惜しみなく暴れてやるぜ!?」
予想通り魔理沙は興味だけで特訓に首を突っ込んできた……最後の言葉がかなり引っ掛かるが今は気にしないことにしよう。
手伝ってくれるのは有り難いと思った零射……だが魔理沙の実力も僅かながらに見て知っている。それに服もそうだが魔理沙は魔法使いと自分で言っているぐらいなので他にも多才な技とかを使えるのだろうなと零射は容易に想像することが出来た。
「勿論手加減してくれるんだよね?」
「何甘いこと言ってんだ?」
淡い期待を抱きながら言った零射だったが案の定魔理沙は予想を裏切るシナリオを選択したみたいだった……予想は魔理沙が此処に来た時から大凡の予感はしていたが外れてほしかった……零射はやれやれとため息を吐きながら額に手を置いた。