博麗幻天夢
□Ability
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一昨日のことを思い出した零射の中では嫌な戦慄が背筋を凍らせていた。つまり一歩間違えば妖怪の二の舞になると…
「魔理沙!零射にはまだ早いわよ!」
霊夢はまだ早過ぎる段階に納得がいかない様子でそう叫んだ。対し魔理沙は笑みを浮かべて零射がどう出るかを興味津々に見物しているところからしてどうやら技を解く素振りは微塵も感じさせない…
「人は追い込まれる程強くなるってな!これも試練だぜ!」
再び魔理沙はごもっともな意見を霊夢に返した……高い場所からそんなことを言われて少しイラッときた2人だったが。
「数が比べものにならないぐらい多い……掠ってすり抜けられるか!?」
零射は頭の中で色々考えたが何も良い手は浮かばなかった……いやまさかの予想外な展開に完全に体が追い付いていなかった。普通戦闘超初心者に技を使うか?…と。並で普通の人間ならみんな言う筈だ……あくまで自分の知る並で普通の人に限るが。
「浮かばないなら仕方ない!」
そう言って零射はそのまま星形弾幕の壁へ突っ込んでいく。その行為は並で普通の人間にとっては無謀とも言える自殺行為であるのは明白で霊夢もつい叫んでしまった。
「零射!?」
「ほぅ!」
「かわす前から何もしないで諦めてちゃ…何も始まらない……だから!」
零射は星形弾幕をかすりながらも次々とその弾幕をかわしていく。その姿はまるで何かが吹っ切れたかのように先程までの動きとは違いキレのある動作へと変わる。経験が実を結んだのか元々の才能なのかはまだ知らないが……零射もまた並の人のそれを超えているものがあった。
「こりゃ驚いたな!只の人間がアレをかわすとはな…」
「零射!」
零射は全ての弾幕をかわし切り飛んでいる魔理沙へと接近していく。掠った数やかわした数は少なくとも3桁はいったと確信を強く抱きながら魔理沙に向け叫ぶ。
「降りて来るんだ!」
「上等だぜ!」
意外にもあっさりと降りて来てくれる……最初はそう思ったのだが所詮たった一瞬の出来事であった……何故なら魔理沙は箒の先端を零射の方に向けるとニヤッと怪しい笑みを浮かべて今にも特攻してきそうな体勢に入っていたからだ……この時改めて自称普通の魔法使いさんはすぐ顔に出るタイプであると分かった気がした。
「!?」
「『ブレイジングスター』」