博麗幻天夢
□Pain or pleasure
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「………」
零射はゆっくりと注がれたグラスを持つ。受け取ったのを確認した霊夢は次に自分のグラスにも同じようにワインを注ぎ終えボトルを置くとグラスを零射に向ける。
「乾杯」
「か、乾杯」
カンッとグラスとグラスが当たり霊夢は普通にワインを自分の口に運んでいく。あまりにも自然過ぎるその光景に零射はついつい視界が霊夢にいってしまう。
「ぅん……美味しいわね!」
「………」
霊夢に良い飲みっぷりを見せ付けられると零射もここで引き下がるワケには…という気持ちを抱くようになり……覚悟を決めてグビッとワインを口へ運んでいく。
「…!(あれ?意外と普通だ…)」
「平気そう?」
「あ、うん。特に何ともないみたい」
つまり零射はお酒に強いかはまだここでは分からないが少なくとも弱くはないということが分かった。自分がお酒に弱くないと分かった時零射はある記憶が頭に過ぎる。それは自身の父親がアルコールに強いのでよく飲んでいたことだった。他にも父親が酔い潰れたところも見たことはなかった。
少し話しは変わるが零射の透き通った白い白銀の髪は母親譲りだった。他にも殆どが母親に似ていた零射はそのせいか自然と父親に似ているところはないと思ってた。だが意外なところで似ている一面を見つけて零射はちょっと複雑な気持ちを抱いた…
「なら良かったわ!」
霊夢は零射がお酒を飲めると分かった途端嬉しそうな顔をしてお味噌汁に手を伸ばす。
「うん。お味噌汁も美味しいわよ!」
「本当に?なら良かった…」
それから2人は会話を挟みながら料理やワインを口に運びあっという間に夕食を終えるもここである異変に零射は気付く。
「うぅ…」
それは霊夢の様子が明らかにおかしかった……顔もいつもより赤みを増していて目もとろんとしていた。すぐに変だと気付いた零射は心配した様子で霊夢に呼び掛ける。
「どうしたの霊夢?」
「…どうやら零射に合わせて飲んでたら私ちょっと酔っちゃったみたい…」