博麗幻天夢

□The wise man of the fantasy
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零射の鎌に迎え撃つように紫も傘を振るい激しく打ち合った音が響く。慣れていない零射はその衝撃で後ろに弾き飛ばされる。

「ぐっ!」

「そろそろ弾幕以外で攻めさせてもらうわよ?『開けて悔しき玉手箱』」

紫が技の名を唱えると同時に零射の真上に突如スキマが開かれる。するとそこからは漂流物が落下しあらゆるものが零射を襲う。

「なっ!?」

降ってきたのは外の世界で見たことのあるポストや標識、機器のジャンク品だった。雨のように降り注ぐ漂流物を零射は跳んで回避しながら再び紫へと接近していく。

「長引けば不利だ!だからもう…」

「『至る処に青山あり』」

接近する零射に向け紫は追撃で新たに技の名を唱えるとスキマが紫の隣に開かれる。そこから再び漂流物が今度は突き出して零射を襲う。すると鎌に力を入れながら三日月を描くように零射は鎌を振るって自分へ接近する漂流物を全て弾いた。

「あら…」

「その調子よ零射!」

「悪いけど……この戦いは負けられないんだ!!」

「うふふ……でも少し遅かったわね零射。『禅寺に潜む妖蝶』」

そう言うと紫はその場でジャンプし日傘を回しながら零射に落下していく。あまりに激しい攻撃に鎌は弾かれ零射の手元から離れ零射も鳥居の方へ弾き飛ばされる。

「ぐぅぅぅ!?」

「零射!!」

「さぁ…武器を拾わせる時間なんて与えないわよ?素手でこの技をどうやって防ぐ?『幻想卍傘』」

零射の隙を見逃さず紫は追撃を仕掛ける。日傘の上に妖力が卍状に収束するとそれを回転させ零射に向けて妖力の塊を飛ばした。

「!!(このままじゃやられる……鎌は…ダメだ届かない!どうすれば…何か方法は……!…そういえばあの鎌は念じて出したり消したり出来た……なら手元から離れたってまた念じれば…)」

僅かな希望に賭け零射は念じた。鎌が再び自分の手元へ戻れと……すると前触れもなく鎌は最初に現れた時のように零射の手元へ収まる。それを見た霊夢は驚いていたが流石の紫も目を見開き驚きを隠せなかった。

「鎌の瞬間移動?いや……霊気は感じられなかった…あの鎌はなんなの?」

鎌が戻ったことで迫る妖力を弾き飛ばした零射は勝負を着ける為に再び紫へ接近する。

「!」

鎌に意識が反れていた紫は接近する零射に気付くのが少し遅れた為か攻撃は仕掛けず後退する。だがその一瞬の隙を見逃さず零射は紫の傘に向けて鎌を振り下ろした。
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