博麗幻天夢
□Truth
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「酷いわ……同じ人間とは思えない…」
「その後…その子猫を轢いた男がどうなったか知ってる?」
「………」
「死んだわ。その後すぐに…」
「「!!」」
「怒りと悲しみが呼び覚ました乖離能力…細胞から分子まで……今まで貴方の能力で亡くなった人達の中で一番惨い死に方をした人になるわね……つまり最初の能力の犠牲者…になるわね」
「どんな…死に方をしましたか?」
「車を走らせて数十分後……突如体中から血を吹き出し臓器と骨が飛び出しながら車の中で絶命した……一瞬だったわね」
紫の語るその後の真実に零射は息を呑む。その様子を見ても尚紫は言葉を続ける。
「その事件がきっかけで貴方は無意識でまだ弱いものだけど能力を常時発現するようになった。そして長時間一緒に居る人間の魂を徐々に乖離していき…」
「亡くなった…んですね?」
「えぇ……当時まだ10歳だった貴方には肉体的にも精神的にも辛い思いをした歳でもあったわね…」
「…でもどうしてそんなに詳しいんですか?ミケのことも……ミケとはまだあの事件が起きる前に仲良くなったんですよ?」
「知ってるも何も……そのミケって三毛猫は幻想郷のマヨヒガに住む猫だからよ」
「「!?」」
紫から告げられた言葉に零射は開いた口が塞がらず言葉も詰まった。だがおかしいという気持ちもあったのか少しし落ち着きを取り戻すと疑問に思ったことを紫へ告げる。
「幻想郷って……だって俺の世界と幻想郷は普通じゃ行けないって!」
「私のスキマは唯一こっちとあっちを自由に行き来することが出来るの。そして私が定期的にあっちの世界を覗いてるんだけどある時その三毛猫が着いて来ちゃった時があったのよ」
「!」
「それでスキマに落っこちてあっちの世界に出ると私はミケを探したわ。そして足を挫いて動けないミケを助けたのが…」
「俺…だったんですね」
「えぇ。数日後怪我が治ったミケは最初に落ちた場所に戻り私と一緒に幻想郷へ戻った。それからよ……私があっちの世界に行こうとすると一緒に行きたいってせがみ始めたのは……あの人にまた会いたいって…私はダメって言ったけど橙にもお願いされちゃって……しょうがなくね」
「………」
「頻繁に連れて行ってあげたわ。着くのと同時に真っ先に貴方の家へと走って行った……貴方に助けられたことが……本当に嬉しかったのよ」