博麗幻天夢

□Truth
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「…ミケ」

「そして……それから暫くしてあの事件に繋がるってワケ……でも貴方はあの時もうミケは死んでいたって思っていたかもしれないけど実はまだ生きていたのよ。断末魔で遠くから見つめる私に最後の力を振り絞って…大好きな貴方にこう言葉を残した」

「!」

「零射は悪くないよ…だから僕の為にもう泣かないで…ごめんね。もっと一緒に居られたのに……ごめんね…って」

「ミケェ…畜生……畜生!!」

今まで我慢していた思いが涙となって溢れ零射はその場でテーブルを叩く……拳には悲しみと無力さが痛い程込められていた。

「俺が…俺が呼んだから……俺が歩道を渡ってからミケを呼んでいたら…こんなことにはならなかったのに……畜生!!」

溢れる涙は止まることなくこぼれ続ける。身を震わせながらテーブルに頭をぶつけて悲しみと後悔が蘇る零射。その様子を隣で見ていられなくなった霊夢はそっと零射の背中に手を置きながら宥めるように言った。

「零射……そんなに自分を責めないで……貴方が今そんな風に泣いてたら……ミケも悲しむでしょ?」

「だけど…だけどっ!!」

「零射……ミケの最期の言葉よ……もっと別の理由で抱かれて逝きたかったけど……貴方の懐で生を終えて良かったって……心の底から言ってたわよ」

「っ!!」

「…その後貴方はミケと最初に出会ったあの小さな木陰にミケを埋めた。私は貴方がミケとのお別れを済ませた後に回収して幻想郷の生まれ故郷マヨヒガに……ちゃんとお墓を作ったわ」

「そう…ですか……あれから月に1回は顔を出してたけど…もう既にあそこにはミケは居なかった…んですね」

「ごめんなさいね……幻想郷生まれだから眠るのは幻想郷が良いって思ったから」

「いえ…良いんです……多分その方がミケも喜びますから」

霊夢に宥められ少し落ち着いたのか涙を拭いて零射はそっと返答を返す。そして今ミケのお墓は幻想郷にあると分かると迷わず紫にあるお願いをするのだった。

「それで紫さん…1つお願いがあります」

「何かしら?」

「今度……そのマヨヒガってところに俺を連れて行ってはもらえませんか?7年振りにミケに会ってやりたいんです…」

「…こちらこそ……是非お願いするわ。絶対ミケも橙も喜ぶわ…」

「ありがとうございます……紫さん」
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