野良猫幻想夢(上)

□紅蓮の紅魔館
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「条件だ?」

「そう…」

「その条件は?」

「私の妹と会って来なさい」

「妹?妹なんて居たのか」

思ったよりも普通な条件に拍子抜けする
トレインの隣では咲夜が血相を変え一歩
前に出てレミリアに言った。

「お嬢様!それは…」

「黙りなさい咲夜……トレインの『力量』を計らせてもらうわ」

「?」

「ルールは簡単!私の妹に会って生きて帰って来れたら合格!」

「へっ!上等!」

「咲夜。案内してあげて…」

「…御意」

レミリアの言ったことが本気だと分かった
咲夜はトレインを連れて部屋を後にする。

「次に紅魔館に訪れた外来人が泊まりたいと言った時…妹に会わせてみろだなんて…『アイツ』の予言に賭ける私も馬鹿ね…」

そう呟いたレミリアは窓から見える景色を
見つめながらフッと笑みを浮かべた……

場所は再び紅い廊下。トレインは漸く縄で
拘束された両手を解いてもらいまた咲夜を
先頭に妹様の場所へと向かっていた。

「なぁ咲夜さんよ」

「何かしら?」

「その妹さんの特徴は?」

「お嬢様と同じく美人な方ですよ」

「ふぅん…」

「只…」

「只?」

「気を抜くと一瞬で…」

「………」

「死ぬってことだけ伝えておきます」

「へぇ…そりゃおっかねぇ話しだな」

主の妹なのだからかなりの実力の持ち主と
容易に想像が付いたトレインは落ち着いた
様子で咲夜には振る舞っていたが内心では
そんなに穏やかな話しではなかった……

「(場合によっちゃ此処が墓場か…)」

「覚悟してください……逃げるなら逃げても良いんですよ?」

「逃げるだ?ここまで来て後戻りなんて出来るかよ」

「…そうですか」






暫く歩くと咲夜の足が止まった。視界には
紫色の『五芒星』が円形状で階段へ繋がる
入り口を塞いでいるのが見て取れた。

「この下がそうか」

「今譜陣を解くわ…」

「譜陣?お前らまさか妹を幽閉してるんじゃないだろうな!?」

「…仕方がないのよ」

「………」

トレインは譜陣の無くなった地下室へと
繋がる階段へ歩いていきながら言った。

「気に入らねぇ…」

「!?」

「自由がないのは…悲しいぜ」

トレインはそう言葉を残すと1人地下室へ
繋がる階段を降りて行くのだった。

「………」



黒と紅【孤独】

その名は幻想郷
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