野良猫幻想夢(上)
□黒と紅【孤独】
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一一そんな悲しい眼はやめてくれよ
ガキの頃の俺を見てるみてぇじゃねぇか…
……状況が違ってもお前のその孤独は…
俺にも……死ぬ程伝わってるぜ……
「…!」
ピクッと指先が動くのと同時に体を前へと
起こしガラガラと音を立てめり込んだ体を
抜きトレインはその場に腰を掛けて言った
「その一撃が俺の中にも伝わってきちまったじゃねぇか…」
普通なら即死の一撃をトレインは受けても
尚フランに問い掛ける………それは絶対に
諦め切れない思いが体を動かしていた。
「嘘……確かに今!」
「俺と同等……いやそれ以上に孤独の悲しみを背負ってる奴に会ったのは……お前が初めてだよ」
「また知ったような口振りを!!」
「知らねぇなら言わねぇよ」
「!?」
「どうしたらそんな眼が出来るのか……昔の自分に問いたくなるような眼の色してた時期が俺にもあったんだよ」
「!」
「孤独の悲しみを知るのは…お前だけじゃねぇ…」
そう言いながらトレインは膝に左手を置き
再び立ち上がった……ボタボタと体中から
流れ落ちる血と震える脚を押さえて視界を
フランに向けてトレインは言った。
「俺も孤独だった…」
「!!」
「兎に角お前が抱えてるもんは俺にだって理解出来る……暗かったよな……寂しかったよな。孤独を知らない奴が理解出来るような苦しみじゃねぇ…」
「やめて!!私の前でもう喋らないで!!頭が痛くなるの!!」
「待ってろ……今すぐ俺が断ち切ってやる……その鎖を…」
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「………」
苦しみから逃れようと再度殺意を剥き出し
急接近するフラン。だがトレインにはもう
戦う意思はなかった。左手に持つ装飾銃を
手放し丸腰になったトレインを見て行動の
意味が理解出来なかったフラン…
「!!?」
「来いよ……ぶつけることで少しでも痛みが調和されるなら俺もその痛みを背負ってやる…お前は独りじゃない…」
「…うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして戦闘意志を無くして尚も問い掛ける
トレインの隙が出来た体をフランが右手で
貫く。鈍い音が地下室に響き渡った…
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