野良猫幻想夢(上)
□黒と紅【自由】
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「本当に面白い人間ね………外の人間達もアナタみたいな連中ばかりなの?」
「?」
レミリアは感じていた……今のトレインは
先程とは全くの別人でありフランを通して
地下室で何かがあったと。これ程の威圧を
飛ばし揺るがないトレインに興味があった
「…どうする咲夜?」
「わ、私の一存では…」
「あのフランもすっかり懐いちゃってるし……(何より本当にフランを変えようとしてくれる存在が現れた。自分を顧みず誰かを心配する人間なんて…)」
「………」
「ねぇフラン…」
レミリアは不安そうな顔をしてトレインを
見つめているフランの名前を呼んだ。この
姉妹がこうして会話するのも495年以来
お互い気まずい感じは少なからずあった。
「…何?」
「アナタはどうしたいの?」
その一言にフランは勿論驚いていた。絶対
地下室に返されると思っていたフランだが
まさかの質問に返答を躊躇してトレインの
方を見つめるフラン。トレインは微笑んで
ゆっくりと頷くとフランも頷いて言った。
「自由に……自由に生きたい!」
「!」
「フッ…」
「…そぅ」
フランの返答を聞いたレミリアは3人に
背を向けて自分の来た廊下を再び歩いて
いく。そしてトレインに背を向けながら
レミリアは自分の答を口に出した。
「アナタが『全て』面倒見るのよ……私は一切何もしないからね?」
「じゃあ!」
「自由の先輩としてその子に自由を教えてあげてね…」
そう言葉を残したレミリアの姿はどんどん
遠くなり少しして姿が見えなくなった。
「やったなフラン!これでお前は正式に自由だ!もうあんな場所に居なくても良いんだぜ!」
「自由…うん♪」
「(トレイン=ハートネット……この人間の中に眠る素質はいったい)」
……だがその瞬間トレインが倒れる音が
紅い廊下に響いた。その理由は十二分に
説明出来る。満身創痍の傷が原因だった。
「!?」
「トレイン!!?」
「………」
「出血が!」
「そんな!死んじゃ嫌だよぉ!!死なないでトレイン!!」
「(これ程の重傷では普通の人間じゃ最早助からない……けど助けたいと思わせるこの感情は……兎に角今の私達ではどうしようも出来ない!……あの方に来てもらうしかないわね)」
倒れるトレインを揺さぶって泣き崩れる
フランの後ろで咲夜は絶望の中に微かに
見える僅かな希望を信じてとある人物に
助けを求めようと動き始めるのだった。
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